
転生
by Junia Brutus 月読(つくよみ)の雫(しずく) 朽(く)ちた神籬(ひもろぎ)~~~ 千代(ちよ)を超(こ)えし 龍脈(りゅうみゃく)の鼓動(こどう) 石(いし)に刻(きざ)む 万葉(まんよう)の誓(ちか)い 久安(きゅうあん)百首(ひゃくしゅ) 風(かぜ)に散(ち)りし夢(ゆめ) 「天地(あめつち)の 狭霧(さぎり)を裂(さ)きて 八雲立(やくもた)つ 出雲(いずも)の国(くに)より 魂(たましい)の火(ひ) 再(ふたた)び燃(も)ゆ」 霊峰(れいほう)に佇(たたず)む 星霜(せいそう)の鎖(くさり) 崩(くず)れゆく結界(けっかい) 朱(しゅ)の勾玉(まがたま) 儚(はかな)き巫女(みこ)の 手(て)のひらに 古(いにし)えの神楽鈴(かぐらすず) 今(いま) 鳴(な)り響(ひび)く 軋(きし)む地脈(ちみゃく) 貫(つらぬ)け龍笛(りゅうてき) 三途(さんず)の川(かわ)さえ 逆巻(さかま)く焔(ほのお)で 百夜(ももよ)の月読(つくよみ) 剣(つるぎ)に映(うつ)して ああ 「精神(せいしん)一到(いっとう)」天(あま)つ御柱(みはしら) 千手(せんじゅ)の光(ひかり) 降(ふ)り注(そそ)ぐ 八咫烏(やたがらす)羽(は)ばたきて 黄泉(よみ)がえりの 桜吹雪(さくらふぶき) ああ 「何事(なにごと)か成(な)らざらん」 崩(くず)れし古墳(こふん)に 蘇(よみが)える紋(もん) 神籬(ひもろぎ)の根元(ねもと) 穿(うが)つ太刀音(たちおと) 悠久(ゆうきゅう)の時(とき)を 斬(き)り拓(ひら)け 「冬枯(ふゆが)れの 岩根(いわね)に萌(も)ゆる 命草(いのちぐさ) 春待(はるま)つまじと 雪割(ゆきわ)りゆく」 崩(くず)れた鳥居(とりい) くぐりし先(さき)に 百鬼(ひゃっき)の宴(うたげ) 紅葉(もみじ)散(ち)らす 振(ふ)り上(あ)げた錫杖(しゃくじょう) 雷光(らいこう)と共(とも)に 古史記(こしき)の文字(もじ) 宙(ちゅう)に浮(う)かぶ 「そは儚(はかな)き 現世(うつしよ)の—— 仮初(かりそめ)の姿(なり)か それとも永久(とわ)の 神(かみ)がかりの契(ちぎ)りか」
