
[子ども] ねぇ?これなんて読むの? 「みぞうゆう(未曾有)」 そっかじゃあそう読むんだ 指一本で流れる十五秒 読み間違えた漢字が今日も上昇 いいねの数だけ正しく見える コメント欄の訂正は下に消える 小学生が真似して笑う その読み方で友達と語る 慣れた言葉は耳に優しい 聞けば聞くほど間違いが正しい 独擅場(どくせんじょう)が 独壇場(どくだんじょう)に 変わった辞書の歴史もある でも待って 義務教育がブレーキ 黒板で習った書き順と読み 簡単には蔓延しない そう、しない。 そう、しない。……本当に? もっともらしい 顔で もっともらしい 声で もっともらしい言葉並べりゃ誰でも頷く もっとも もっとも もっともらしい 最も正しい顔をした、間違い ポイントはそこじゃない AIの誤用は漢字だけじゃない 法律・税法・医療・政治 授業じゃ浅くなぞっただけの分野 芸術・哲学・スポーツだって 触れず生きても困らない毎日 触れる回数少なけりゃ 知識の底も浅いまま 浅い海なら溺れないと思う だから足元すくわれる 条文っぽい文章 診断っぽい言葉 添削する先生はそこにいない 赤ペン持った誰かはもういない 教科書に載ってない間違いは ……誰が直すの? 不幸なことに人間は もっともらしい人間を信じる生き物 スーツ、眼鏡、落ち着いた声 それだけで疑いは溶ける 今じゃスーツも眼鏡もいらない 滑らかな文章が顔の代わり 間違いを直す速さは 人間の歩み AIの進化は一晩で 僕らの修正は一世代 追いつけない 追いつけない 追いつく前に次が来る 正しさより 速さ 真実より 滑らかさ そして 気づいたら間違いが教科書 もっともらしい 顔で もっともらしい 声で もっともらしい言葉並べりゃ誰でも頷く もっとも もっとも もっともらしい 最も正しい顔をした、間違い [子ども] ねぇ? これなんて読むの? この歌もAIが書いた だからこの言葉も、疑って もっとも……らしい

