黙って立て そこ動くな 半端な覚悟じゃ 指まで持ってくぞ 今日も一枚 剥がして始める 芯まで見りゃ だいたい同じだ 世間は勝手だ 右だの左だ 肩書き 数字 並べて値踏みだ 上っ面だけで 人間をはかる だったらこっちは 薄くしてやる デカい顔した その常識ごと まな板の上 置いて真っ二つ 力じゃねえんだ 刃筋を通す 迷えば厚くなる だから迷わず 一枚 二枚 重ねて 押さえて 逃げ道塞いで 刃を落とす 余計なもんは 全部削げ 見栄も建前も 細くしろ 幅は揃えろ 手ぇ抜くな 漢なら最後まで 刻み切れ 斬れ 斬れ 斬れ 世間ごと斬れ 斬れ 斬れ くだらねえもん斬れ 薄っぺらくなるまで 容赦なく斬れ ……いや キャベツだよ 千切りだ 何見てんだ 大層な話じゃねえ 腹減った奴が そこにいるだけ 拳を握って 何が変わる だったら包丁 握って腹を満たす 右から左 一定の幅 速さじゃねえ 大事なのは芯だ 雑な仕事は 口ほどに出る 一皿見りゃ そいつの生き様が出る 水にさらすか そのまま行くか そこは好きにしろ 俺は止めねえ ただ一つ ドレッシングで 誤魔化すな 世の中なんて 固い芯ばっかだ 噛み切れねえなら 切ればいい 誰かを斬るな キャベツを斬れ 腹が立ったら キャベツを斬れ どうにもならなきゃ キャベツを斬れ 気づけば山盛り キャベツを斬れ 斬れ 斬れ 斬れ 世間ごと斬れ 斬れ 斬れ くだらねえもん斬れ 極細 均一 妥協なく斬れ その刃に 覚悟を乗せろ ……だから キャベツだって 敵はいねえ 抗争もねえ ここにあるのは 包丁とまな板 今日も黙って 一玉仕留める 千切一家 ――開店だ