長くなるけれど 僕のクロアワビ愛 を語っていくよ。 [Verse 1:生物学的側面] 学名は ハリオティスディスクス リーブが名付けた(eighteen forty-six) 意味は 海の耳 えんばん アワビの王様、クロアワビ 冷たい三陸のエゾアワビとは違う 房総以南の荒波に揉まれ 強靭な筋肉を蓄えた「最高級」の肉体 足のへりは精悍な黒褐色 岩場に吸い付いたら、もう二度と離れない [Verse 2:食感と理想] クロアワビじゃないけど かまいしなかむらやのかいほうづけ たべたことあるかい? 中にあるアワビ柔らかくて 美味しいよね。 でも本来はとても硬いものなんだ だいこんの酵素で 優しくほぐし 酒を振り三時間じっくりと蒸し上げる そうして生まれた あの柔らかさこそ 僕が追い求める 理想の愛撫 強く、硬く、それでいて どこまでも優しい [Verse 3:文化的側面] 江戸時代 男たちは知っていた 「いそのあわびのひとりぶし」 殻が合わさる2枚貝じゃない 片側だけの一枚貝 孤独なその形を 叶わぬ 「片想い」 と しゃれて たとえばなしにつかってた [Verse 4:形状の類似] きたがわうたまろが描いたしゅんがしゅう 歌まくら(seventeen eightyeight) に収められた 「あまとアワビ」 これはもうまさに エポックメイキング まるで洗濯屋けんちゃんのよう 波打ち際で 肌を晒した女たちが 獲物であるアワビを 手にするその時 指先が触れているのは 単なる貝殻じゃない [Verse 5:形状の類似] アワビの ぬめる黒い足が 吸い付くように 女の指を絡めとる その湿りけと 強固なまでの吸着 しゅんがの中で 男たちはアワビを じょ世紀そのものとして 描き写した あまの指先が アワビの「身」をこじ開ける描写は そのまま ひぶへの愛撫のメタファーだったんだ アワビの殻の内側 真珠色の輝きと 肉厚な身が持つ弾力 それは ただのたべものじゃない あまという生身の女と 海が産み落とした 官能の象徴だったんだ [Keyboard Solo] [Verse 6:形状の類似] でも 僕がこの名を名乗るのは そんな崇高な歴史のせいじゃない もっと直感的で もっと個人的な理由 大好きなあの場所の かたちに似ているからだ 小さなかげのくちびる そのひだの重なり クロアワビの肉厚な質感と それはあまりにも こくじしている [Verse 7:黒の美学] 若いだけのピンクには興味がない 使い込まれた 黒いグラデーション 怪しく 艶やかに 光を吸い込む それは数えきれない夜を越えてきた あいがしみこんだ 成熟のあかし 言葉にせずとも 痒いところに手が届く あの至高の包容力を クロアワビの姿にだぶらせる [Chorus1] クロアワビ 叡智なエイジング いろずいたその色は あいの深さ 殻の内側はキラキラな輝き 誰にも言えない 真実がある クロアワビ 熟成の美学 いんえいのなかに 僕は跪く [Chorus2] クロアワビ 漆黒の叡智 黒ずんだその色は ごうの深さ コリコリした殻の内側に 誰にも言えない 真実がある クロアワビ 熟成の美学 いんしんのまえに 僕は跪く [Guitar Solo] [Outro] 隠すことなんて何もない これが 僕の見ている世界 これが 僕の愛する形 ああ クロアワビ こんなにもいとしい



