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『ぬるい缶コーヒー』 MC JOE

V6

[Intro] 昼過ぎの公園 ベンチの端 スーツの男が ひとりで座る 仕事の途中にゃ 見えなかった 俺が声かけた そんだけだった [Verse 1] 「仕事っすか?」 余計なひと言 男は笑って 「まあ、そんなとこ」 一ヶ月前に 会社を切られた だけど家族にゃ まだ言えてない 朝七時には スーツで家を出る 娘が笑って「パパ、がんばって」 俺なら言うね そう思ってた 隠してどうすんだ そう思ってた でも目の前の男を見てたら その言葉だけ 出てこなかった [Hook] 手の中に ぬるい缶コーヒー 飲みもしないで ずっと握ってる 俺はなんにも 言えないまんま 隣で同じ景色を見てる 正しい答えなら いくらでもある でも今日ここじゃ どれも軽すぎる 手の中に ぬるい缶コーヒー なんで俺まで 黙ってんだろう [Verse 2] 「毎日ここに?」 「ああ、だいたいな」 「仕事、探さないんすか」 言ってから気づく また俺 簡単なこと言ってる 「探してるよ」 小さく笑った 「家じゃ娘が 学校の話をするんだよ」 「それ聞いてるとさ 明日でいいかって また言えなくなるんだよ」 俺は笑えなかった 俺にもあるから 言わなきゃいけねぇのに 言わないままにしてること 何があるかは あんたにゃ言わねぇ でもその瞬間 他人じゃなくなった [Hook] 手の中に ぬるい缶コーヒー 冷たい風だけ 横切っていく 「言えよ」なんて もう言えなかった 言えない夜なら 俺にもある 手の中に ぬるい缶コーヒー 俺はその温度を 覚えて帰る [Verse 3] 夕方六時 男が立った ネクタイ締めて 襟元を直す 「……言うんすか、今日」 少し考えて 首を振った 「今日も無理だな」 頑張れなんて 俺は言えない だってさっきまで俺だって 言えばいいだけと思ってた 男が歩く 俺は見送る 背中に何か 言おうとしてやめる [Outro] 冷たい缶コーヒーって 最初は書いた でも違う ずっと握ってたんだ だったら ぬるい