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夜の片鱗に咲きほころぶ

V4.5+

夜の帷、静けさ降りる 漆黒の針が時を刺し 名もなき街角、影の中を 月の灯を踏みしめ歩く 仄紅の頬、隠しきれず 鏡映る異形の姿 誰がため、糸引く装いで 「可憐」と囁く声の群れ 遠く呼ぶ、遠日の呼び声が響く 詰め込んだ自由は重き鞄に詰めて 「正しさ」の檻、仄暗く沈む夜 薄桃の布に触れたその瞬間 初めて知る望みが掌を染めた 誰にも奪えぬこの陰り抱いて 名の無き夢を胸に秘めている 硝子の靴は片割れのまま残り 泥濘に心の底を沈める ねぇ、連れて行ってほしい 遠く光る花の在る場所まで 数えきれぬ夜を重ね合いながら 溶けあうほど甘美なる罪と知る 愛されたくて求めていた 名も無いまま呼ばれたかった 私はまた宵に堕ちる身となり 透ける心をさらけ出してみる 雨音を追って急ぐ足音が響き 硝子の微笑みは脆く崩れ落ちていく 知らず選び取ったこの夜の肢体を抱え 微睡の都、薫る誘惑に揺れる 錦の誘いに溺れてしまい 滴る甘露に喉が渇く日々 最初はこわばる痛みばかりだった 差し込む刃、凍えることばの痕 白濁の叫びに咽ぶ指先が微かに震え 蜜へと身を変えていく 眠れぬ夜に雫を数えながら 白昼の記憶は吐息と共に消える 今では甘露と変じたその味は 注ぎ込まれるたび、背を熱く駆け抜ける 全て受け入れ、己さえも溶かし 痺れる跡を愛しく想う 還る道などとうに捨ててしまった 裂け目を覗き、仄かな灯が揺れ 嗤う神さえ目を逸らし続ける ねぇ、気付いてほしいこの想い 夢彷徨う愛しき声を求め 誰にもなれず、何者でもなくて 花弁のようなこの心で生きる ああ、幻でもいいから 夜に抱かれてさらさらと流れるだけ 小さな願いは胸に残り 夜風に千切れて消えてしまう 生温い手に導かれ揺れながら 罪深き祈りと穢れた花弁を抱いて 螺旋を描き落ちゆき 明日をも知らず沈んでいく うつつの床に沈み込むこの夜 誰にも見えぬ暗がりの底で 悦びと罰が溶けた指先なら 花弁の髄まで沁みていく 私は罰を乞いながら震え 静かに沈み込んでいく身体 己の名さえ霞んでゆく心で 夜明け気配、背に受けながら 溶け散る幽かなる夢がまだ消えず 花びら一枚ずつ降り落ちていき 蜜に穢れとろけてゆく身体 灯り失せた部屋の隅には くすんだ笑みが沈み込んだまま 生まれ落ちた意味をそっと噛みしめながら 罰という悦びに静かに沈み 深く深く眠りゆくこの身