
[Intro] 新しいカプセルです そう言われて ここに来た 傷もない 曇りもない 中には 初めて会う Toy だから僕も 新しいはずだった なのに カチッ その音を聞いた瞬間 「……あ。」 [Verse 1] カプセルウェーブの 透明な Machine 上から下へ ゆっくり揺れて ガラガラ コロコロ 今日も誰かが ハンドルを回す となりのカプセルが聞く 「知ってる人?」 「いや。」 「じゃあ なんで見てるの?」 分からない 顔も知らない 名前も知らない だけど ハンドルを握る その指を 僕は知ってる [Pre-Chorus] カチッの前に ほんの少し止まる 親指を 少しだけずらす 回し終わったあと 二回触れる ひとつ ふたつ その癖を どうして僕は 知ってるんだろう [Chorus] 君を、知ってる。 でも 君が誰かは知らない 名前も 声も 思い出せない それなのに 君を、知ってる。 その手の温度 その指の場所 僕が生まれる ずっと前から どこかに残った 小さな記憶 新しい僕の もっと奥で まだ君を 覚えてる [Verse 2] ゴトン 僕は落ちた 君の手が 僕を拾う その瞬間 身体の奥で 何かが ざわっと動いた 「……この手。」 中の Toy が聞く 「知ってるの?」 「たぶん。」 「会ったことある?」 「分からない。」 「じゃあ知らないじゃん。」 「……そうなんだけど。」 君は僕を 一度だけ振る シャカッ それから 継ぎ目を探す 親指 人差し指 爪の先が 僕に触れる カリッ 「……これも。」 知ってる [Pre-Chorus] 赤かった気がする いや 青だったかもしれない もっと小さかった? もっと丸かった? 中に誰がいた? 何年前だった? 何ひとつ 思い出せない ただ この手だけが 消えてくれない [Chorus] 君を、知ってる。 でも いつの君か分からない 子どもだった? 大人だった? それさえ 思い出せない 君を、知ってる。 シャカッの強さ 開ける前の間 記憶じゃなくて もっと深いところ 洗っても 溶かしても 作り直しても 消えなかった 何かがある それを僕らは 何て呼ぶんだろう [Bridge] 遠い音がする 水の音 機械の音 熱 暗闇 細かくなった 僕の身体 名前も 色も 形もなくなって それでも ほんの小さな何かが 次の僕へ 次の僕へ ずっと ついてきた 誰かが昔 冗談みたいに言った 「カプセルにも DNAがあるのかな。」 そのときは 笑った でも今は 少しだけ 信じてる [Break] パカッ 光が入る 中の Toy が 君を見る 「はじめまして。」 そうだね 君にとっては はじめまして でも僕は—— [Final Chorus] 君を、知ってる。 君が僕を 知らなくても 何回僕が 新しくなっても 君を、知ってる。 赤でも 青でも 透明でも 中にいる Toy が 変わっていても カチッの前の 小さな間 シャカッと一度 確かめる癖 開けるときの 指の温度 それだけずっと 残っていた これが記憶か 分からない これが僕なのかも 分からない それでも今 君の手の中で ひとつだけ 言える 君を、知ってる。 [Outro] 君が僕を見て 少しだけ 首をかしげた 「なんだろう。」 「このカプセル……」 しばらく 僕を手の中で転がして 小さく笑う 「なんか 懐かしいな。」 …… 中の Toy が聞く 「ねえ。」 「この人 誰?」 僕は少し考えて 答えた 「分からない。」 「でも——」 君を、知ってる。

