『未遂事案発生』 陽がゆっくりと朱くなって往く もしも僕が 夜の帳が降りてくる前にたどり着けたなら 君は笑ってくれるかな。 ちょっとした仕草や 思いがけない表情に息をのんで、 目を逸らした僕は思う。 ──やっぱり、 隣にいちゃいけないのかな。 陽は落ちて往く。 朱く、朱くなりながら。 君に近づくたびに、 こころも朱く染まってゆく。 山吹色の月が、碧く、蒼く── ヴェールを脱ぐように 白磁へと近づいてゆく。 朱く染まったこころを、 そっと冷ますように。 もう帷は降りてしまった… まだ君のもとにはたどり着けない。 ごめんね…今日も間に合わなかった。 明日こそ、ちゃんと一緒に 公園に…… 散歩に行こうね。 まだ太陽があるうちに。 【あとがき】 寒くなってくると、散歩ってちょっとめんどくさいじゃん? でも、玄関の前で尻尾を振りながら待ってる君を見ると、 なんだか後ろめたくてさ。 ──ごめん、今日も少し遅くなっちゃったね。