
水たまり 踏んだ靴が しずくを跳ねて 気づかないふりしたけど あなたの指先 わたしの頬に 触れそうで 触れないままで 傘の中 黙ったまま 景色が流れて 駅前の灯りがぼやけた わざと遅れて 歩いた午後に 理由なんて いらなかったのに あのね、って言いかけて 飲み込んだ 言葉がまだ 胸の中で 揺れている あなたの背中 遠すぎる どこか遠くへ 行きたくなった あなたとじゃなくてもよかった でもね 本当は ひとりじゃいやで こんな夜が 苦しいだけ 坂道に 風が吹いて 髪がほどけて 何もかもが自由すぎた 待ち合わせなんて してないけれど 心だけ あなたを向いてた あぁまたね、って言えたら 楽だったのかな 肩と肩が ふれない距離 わたしだけ 止まってたみたい どこか遠くで 生まれたなら 知らずにすれ違えたかな だけど この街で 見つけてくれた あなたが 全部だったのに 雨音だけが近くて 鼓動の音が遠のいて 交差点 赤になるたび 少しずつ 消えていく どこへ行っても 忘れないよ 名前も声も その目も あなたとなら どこへだって きっと やさしくなれるから ただそれだけのこと

