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Return Signal [中立] #CF3E [STORY]

Cyber Force 3rd Evolution楽曲募集中 詳しくはこちらのURLを参照 https://suno.com/song/b7a0861c-96d3-4526-800b-38f88dc81ce9 中立曲のプレイリストはこちら vol.1 https://suno.com/playlist/df65d6e3-fa9a-48ba-8140-9dc3adb50c9d vol.2 https://suno.com/playlist/06ce3f47-fa82-45e7-8317-240cb95b5173 Cyber Force 3rd ストーリー https://suno.com/playlist/66e4584c-2bd3-47e6-91fb-f42f804c4642 前回はこちら https://suno.com/s/9wPKj9AZOxm7kwYi 《Return Signal》 ――静寂。 つい先ほどまで赤い出力と魔力が激突していた荒野。 焼けた地面から、細い煙だけが立ち上っている。 その中心で、リオナはエルフレアを抱いたまま動かなかった。 黒く歪んでいた装甲も、背中を覆っていた異形の翼も、すでに消えている。 そこにあるのは、見慣れた赤。 本来のエルフレアの姿だった。 リオナ:「…………」 腕の中で、わずかに指先が動く。 リオナ:「……エルフレア?」 ゆっくりと緑の瞳が開いた。 エルフレア:「…………」 まだ焦点が合わない。 ぼんやりと空を見つめ、やがて目の前のリオナへ視線を向ける。 エルフレア:「……リオナ……?」 リオナ:「うん」 短い返事。 それだけで、エルフレアの表情が変わった。 記憶は消えていない。 何一つ。 ニジェラとの戦い。 奪った右腕と右脚。 レガリス。 アルヴェイル。 ジトリックス。 ラクリア。 そして今、自分を抱きしめているリオナ。 すべて覚えている。 エルフレア:「……アタシ……」 身体が震える。 リオナは何も言わず、静かにエルフレアを支えていた。 やがて。 リオナ:「……立てそう?」 エルフレア:「…………うん」 リオナの腕が離れる。 エルフレアは地面に手をつき、ゆっくりと身体を起こした。 少し離れた場所では、アペンドラの治療を受けたアルヴェイルとジトリックスも、すでに身体を起こしている。 アペンドラ:「意識は正常?」 リオナ:「たぶん」 エルフレア:「……正常……だと思う」 アペンドラ:「そう」 アペンドラは、それ以上すぐには聞かなかった。 エルフレアは四人を見る。 リオナ。 アルヴェイル。 ジトリックス。 アペンドラ。 けれど、誰とも目を合わせられない。 沈黙。 ほんの数秒のはずなのに、エルフレアにはひどく長く感じられた。 そして。 エルフレア:「……ごめん」 誰に向けたものでもない。 四人全員に向けた、小さな言葉。 エルフレア:「アタシ……みんなに、ひどいことして……」 アルヴェイル:「…………」 ジトリックス:「…………」 エルフレアはアルヴェイルを見る。 エルフレア:「アルヴェイル……」 アルヴェイル:「はい」 エルフレア:「止めようとしてくれたのに、アタシ、何も聞かなかった」 アルヴェイル:「……ええ」 エルフレア:「それどころか、アナタまで巻き込んで……ごめんなさい」 アルヴェイル:「謝罪は受け取ります」 エルフレア:「…………」 アルヴェイル:「ですが、今エルフレアがここにいる。私は、その事実を肯定します」 エルフレア:「……アルヴェイル……」 次に、ジトリックス。 エルフレア:「……ジト」 ジトリックス:「…………」 いつものジトリックスなら、すぐに何かを返す。 だが今は、何も言わない。 エルフレア:「ジトにも、心配かけたよね」 ジトリックス:「……うん」 エルフレア:「ごめん」 ジトリックス:「…………」 少しだけ俯く。 ジトリックス:「ジトも……ごめん」 エルフレア:「……え?」 ジトリックス:「エルを止められなかった」 エルフレア:「違う」 即座に言葉が出た。 ジトリックス:「でも……」 エルフレア:「違う。ジトが謝ることじゃない。あれは、アタシが……」 ジトリックス:「…………」 エルフレア:「だから、ごめんね。ジト」 ジトリックスはしばらくエルフレアを見つめ、やがて小さく頷いた。 ジトリックス:「……うん」 次に、アペンドラ。 エルフレア:「アペンドラにも、また全部任せちゃった」 アペンドラ:「そうね」 エルフレア:「……ごめんなさい」 アペンドラ:「それも受け取っておくわ。ただし、反省会は後」 エルフレア:「…………」 アペンドラ:「今のあなたに必要なのは、自分を責め続けることじゃないわ」 エルフレア:「でも……」 アペンドラ:「でも、じゃない」 ぴしゃりと言い切る。 アペンドラ:「話すべきことも、考えるべきこともある。でも、それはちゃんと帰ってから」 エルフレア:「…………うん」 最後に、リオナ。 エルフレア:「……リオナ」 リオナ:「なに?」 エルフレア:「アタシ、またアナタと戦って……それに……」 言葉が止まる。 ニジェラとの戦い。 リオナの身体。 失われた右腕と右脚。 その光景が重なる。 エルフレア:「……アタシ……」 リオナ:「ウチは大丈夫」 エルフレア:「でも……」 リオナ:「大丈夫よ。あなたが戻ってきてくれて、それで十分」 エルフレア:「…………」 リオナ:「ウチがここへ来たのも、あなたを止めようとしたのも、全部ウチが自分で決めたことだから」 エルフレア:「……リオナ……」 その時、リオナの身体がわずかに揺れた。 エルフレア:「……っ! リオナ!?」 リオナ:「……大丈夫」 エルフレア:「大丈夫じゃないでしょ!」 アペンドラ:「魔力切れよ」 エルフレア:「魔力……?」 アペンドラ:「あれだけの浄化を行ったのよ。むしろ、ここまで立っていた方がおかしいわ」 リオナ:「……結構、持っていかれるのね」 アペンドラ:「当然」 リオナ:「先に言ってほしかったな」 アペンドラ:「言ったらやめた?」 リオナ:「やめない」 アペンドラ:「でしょうね」 リオナ:「…………」 エルフレア:「…………」 ジトリックス:「…………」 ほんの少しだけ、空気が緩んだ。 その時、通信音が鳴る。 アルヴェイル:「……通信です」 空中に半透明のウインドウが展開され、DIMEN-TIAの姿が表示された。 DIMEN-TIA:「状況を確認しました」 その姿を見た瞬間、再びエルフレアの表情が曇る。 DIMEN-TIA:「エルフレア」 エルフレア:「……おふくろ」 DIMEN-TIA:「戻れたのですね」 エルフレア:「…………うん」 DIMEN-TIA:「そうですか」 短い沈黙。 DIMEN-TIA:「……よかった」 エルフレア:「…………」 エルフレアの視線が下がる。 エルフレア:「おふくろ……アタシ……」 DIMEN-TIA:「帰還後に聞きます」 エルフレア:「……え?」 DIMEN-TIA:「あなたが話したいことは、その時にすべて聞きます」 エルフレア:「…………」 DIMEN-TIA:「今は、もう一人。あなたと話したい者がいます」 通信画面が切り替わる。 その瞬間、エルフレアの身体が固まった。 画面に映ったのは、治療用ベッドに横たわるラクリア。 身体の各所に治療処置が施され、まだ自由に動ける状態ではない。 エルフレア:「…………」 さっきまで四人には謝ることができた。 それなのに、ラクリアの顔を見た瞬間、何も言えなくなった。 ラクリア:「エル」 エルフレア:「…………っ」 いつもと同じ。 何も変わらない呼び方。 それが今は、ひどく痛い。 エルフレア:「……ラクリア……」 ラクリア:「うん」 ラクリアは何も急かさず、通信の向こうからエルフレアを見ている。 エルフレア:「アタシ……アタシ、ラクリアに……」 倒れても。 動けなくなっても。 それでも攻撃した。 自分の手で。 エルフレア:「……ごめんなさい。本当に、ごめんなさい……」 俯いたまま、顔を上げられない。 やがて。 ラクリア:「エル」 エルフレア:「…………」 ラクリア:「ボクは、気にしてないよ」 エルフレア:「……え?」 思わず顔を上げる。 ラクリア:「もちろん、痛かったけど」 エルフレア:「…………」 ラクリア:「すごく痛かった」 エルフレア:「……ごめん……」 ラクリア:「でも、エルが戻ってきてくれた。ボクは、それが一番うれしい」 エルフレア:「……どうして……」 ラクリア:「?」 エルフレア:「アタシ、あんなことしたんだよ……? ラクリアを、あんなに傷つけて……なのに、なんで……」 ラクリア:「だって」 迷いなく。 ラクリア:「エルだから」 エルフレア:「…………」 その瞬間、視界が滲んだ。 瞬きをしても消えない。 むしろ、もっとぼやけていく。 エルフレア:「……なに……?」 頬を何かが伝い、一滴、地面へ落ちる。 指先で頬に触れる。 濡れている。 もう一滴。 そして、また一滴。 エルフレア:「……なに……これ……」 ジトリックス:「……エル……?」 アルヴェイル:「…………」 リオナ:「……泣いてる」 エルフレア:「……泣く……?」 知らない。 こんな感覚。 胸の奥が苦しい。 なのに、嫌ではない。 止めようとしても、止まらない。 エルフレア:「……なんで……なんで、止まらないの……」 ラクリア:「エル」 エルフレア:「……なに……?」 ラクリア:「止めなくていいよ。ボクは、ここにいるから」 エルフレア:「…………っ」 とうとう顔を伏せた。 声を上げることはない。 ただ静かに、涙が流れ続ける。 誰も、それを止めなかった。 リオナも。 アルヴェイルも。 ジトリックスも。 アペンドラも。 通信の向こうのDIMEN-TIAも。 ラクリアも。 ただ、そこにいた。 しばらくして。 アペンドラ:「……さて。これ以上、ここに留まる理由はないわ」 視線の先では、NEXTAの帰還準備がすでに整っている。 アペンドラ:「話の続きは拠点で。全員、帰りましょう」 ジトリックス:「……帰る?」 アペンドラ:「ええ」 アルヴェイル:「賛成します」 リオナ:「ウチも。さすがに少し休みたい」 エルフレア:「…………」 もう一度、通信画面を見る。 ラクリアがいる。 DIMEN-TIAがいる。 帰る場所がある。 エルフレア:「……うん」 頬を拭う。 透明な雫が指先に残った。 まだ、これが何なのか。 どうして流れたのか。 エルフレアには分からない。 それでも。 エルフレア:「……帰ろう」 NEXTAのハッチが開く。 一人、また一人と荒野を後にする。 最後に、エルフレアが振り返った。 焼けた大地。 崩れた岩。 戦いの痕。 ここで起きたことは消えない。 自分がしたことも、傷つけたことも、なかったことにはならない。 それでも、前へ進むことはできる。 エルフレアはNEXTAへ乗り込む。 ハッチが閉じる。 静かな駆動音。 やがて巨大な船体が、ゆっくりと荒野を離れていく。 戦いは終わった。 傷はまだ残っている。 心にも。 身体にも。 けれど、帰ることはできる。 今は、それでいい。 ――つづく https://suno.com/s/gJODmGuOspEWYAum