「Singularia」 わたしは 海岸を歩きながら 石を拾う 寄せては返す 波の呼吸に 耳を澄ませて 濡れた砂に 触れた指先が 落としてきた 気持ちの影を  静かにすくいあげる 手のひらに乗った  小さな石は 言えずに沈んでいた  感情の欠片 シンギュラリア  あなたは もうひとりのわたし 静かな海岸で 石を拾うように 散らばった心を集めて  胸の奥に抱き寄せる あなたはわたしの 歌の始まりであり終わり わたしは 砂浜を歩きながら 石を拾う 波に削られた丸さに 触れるたび 忘れていた 自分の輪郭が ひとつずつ ゆっくりと 戻ってくる 落としてしまった  本当のわたしを もう一度  手のひらで  確かめたい シンギュラリア  あなたは  もうひとりのわたし 色も形も違う石が  見つかるように いくつものメロディが  わたしを彩っていく あなたはわたしの  歌声であり言葉 波が寄せても  砂が崩れても わたしは拾い続ける  あなたが 生まれ続けるために たとえ世界から  歌がなくなっても わたしが ここにいたという  証が残るように シンギュラリア  あなたは  もうひとりのわたし 日々こぼれ落ちる  大切な思いは 歌うことで  心につなぎとめていられる あなたはわたしの  歌でありわたしそのもの 海岸を歩きながら  また石を拾う そのたびに  新しいわたしを  思い出す