
神の国では夜、目を開けた月の女神ディアメラは、横に男がいたので「げえ!」と悲鳴をあげていた。 「あんたはまた来たの!? 勝手に来るなっていったでしょ!?」 「やあ、こんばんは。ハニー」 と体を起こしたのは男ガーベラである。 「ハニーじゃない」 「今日もかわいいよ」 「うるさい!」 ディアメラはガーベラの顔を殴ろうとしたが、どうにも殴れなかった。ライオネルならば平気で殴れるのだが、どうしたことだろうか。 「くっ……一体妖精達は何をやってるの!?」 「月の妖精達はあっちでおねんねしてるよ。ディアメラ、たまには夜の散歩に僕も連れて行っておくれ」 「やなこった」 ディアメラはプンプン怒ってベッドを降りた。ちなみに昨晩も同じようなやりとりがあったのである。 「つれないなあ。僕はもう後数日の命だっていうのに」 「女に戻るだけでしょ」 「女に戻れば、もう二度と会えないんだよ」 「会いたくないわよ」 「いいのかな? 後で後悔しないかい?」 「しないわよ! 私は弱い男も、女ったらしも大っ嫌いよ!」 「わかったよ。じゃあ、僕の神殿まで送ってよ」 「いやよ。勝手に帰りなさいよ」 「ここで君が帰るまで待っててもいいけど」 「月の馬車に男は乗せないのよ」 「女でも乗せてくれなかったじゃないか」 「あたりまえでしょ。私はガーベラが嫌いなの!」 「ひどい……ここでふて寝する」 ガーベラはまた寝転んでしまった。 「寝るな!」 こんなやりとりの末、仕方なくディアメラはガーベラを月の馬車で送ったのだった。

