
[Intro] 誰かに訴えたいことなんて、 本当は何もない。 大きな言葉も持たない。 正しい旗も知らない。 世界を変えたいわけでもない。 それでも、 私は作り続けている。 これは癒しなのか。 それとも、 この世のどこかに 自分がいた跡を残したいだけなのか。 だが、 手は止まらない。 音はまだ、 冷えた床の上を歩いている。 [Pause] 透き通った鉄色(くろがねいろ)が好きだ。 冷たく、 青く、 静謐。 夜明け前の金属。 氷の下に眠る水。 名前をもらう前の刃。 銀ではなく、 灰色でもなく、 ただ、 澄んだ鉄。 [Verse] 美しくありたいと思う。 愛されやすい形ではなく、 触れやすい形でもなく、 誰かに合わせて丸められた形でもなく。 よく研がれた刃物のように。 冬の朝、 誰もいない窓辺に張る 薄い氷のように。 冷たく、 静かで、 それでも光を返すものとして。 媚びたくない。 ひれ伏したくはない。 あたたかいふりをしたくもない。 鋭いまま、 この感性を 丸めず、 鈍らせず、 眠らせずにいたい。 [Bridge] これは祈りなのだろうか。 これが証なら、 見届ける人はいない。 これが癒しなら、 少しもやさしくはない。 それでも、 私は一行を残す。 ひとつの音を置く。 感性の刃を磨く。 まだ見たことのない空が、 そのふちに映るまで。 [Outro] 誰かに訴えたいことなんて、 本当は何もない。 それでも、 私は続けている。 澄んだ鉄色(くろがねいろ)のように。

