
[Intro] …ねえ、 変な話をしてもいい? 見えてるものが 本物じゃなかったとして、 実際なにか困るんだろう。 私はまだ、 それがよく分からない。 [Verse 1] 見えてるものって、 本当にそこにある? 触った感覚も、 ただの脳の信号だよね。 じゃあ現実って、 どこにあるんだろう。 私はまだ、 感覚を受け入れられない。 [Chorus 1] 見えてるものが本物かなんて、 たぶん誰も証明できない。 でも困ってないなら、 それで十分なのかもしれない。 水槽の魚に、 空の青さを聞くみたいだ。 答えなんて返らないけど、 泳げるなら同じことだろう。 触れたつもりのものも、 夢で食べたごはんと、 そんなに変わらないのかもね。 じゃあキミはいま、 何に触ったつもりでいるの? [Verse 2] 自分で決めてるって、 本当にそうなのかな。 好きになる相手も、 怒る順番さえ、 予測できるものだそうだ。 それなら私たちは、 選んでるんじゃなくて、 ただ漂ってるだけじゃない? [Chorus 2] もし最初から、 そうなるようにできていたなら、 「あの時の選択が悪かった」って、 少しおかしな言葉だよね。 熱い鍋を触った手に、 「なんで触ったの」って、 怒ってるみたいだ。 避けられないなら、 後悔って何なんだろう。 それでも私は、 何度も思い返してしまう。 責めたいわけでも、 許したいわけでもなく。 [Verse 3] どうせ最後は、 無になるんでしょう。 名前も、記憶も、 そのうち消えていく。 なのにどうして、 そこまで生きていられるんだろう。 終わるって知ってて、 まだ明日を作るんだね。 [Chorus 3] 波打ち際で城を作って、 波が来ると知ってるのに、 また同じことを繰り返してる。 壊れるって分かってるものに、 よくそこまで本気になれるよね。 いつか永遠に会えなくなるのに、 ちゃんと名前を呼ぶんだね。 失う日が来るって知ってるのに、 隣にいてほしいと思うんだ。 それでもキミは、 今日を続けていくんだ。 どうせいつか終わってしまうのに? [Bridge] カミューは言った。 世界には、 人が納得できる答えなんて、 用意されていないのだと。 意味を探し続ける人間と、 何も答えない世界。 その噛み合わなさを、 不条理と呼んだ。 ショーペンハウアーは、 人は、欲しがるから苦しむのだと。 手に入れば飽き、 手に入らなければ渇く。 満たされる時間より、 足りない時間のほうが長いのだと。 ハイデガーは言った。 人は、いつか死ぬと知りながら、 生きる存在なのだと。 終わりを避けられないからこそ、 生き方を選ばされ続けるのだと。 エピクロスは言った。 死は、怖がる必要がないのだと。 生きている間に死は来ず、 死が来たときには、 もう自分はいないのだからと。 ニーチェは言った。 それでも生を肯定しろと。 苦しみも、失敗も、悲しみも、 すべて引き受けたうえで、 なお「これでよかった」と言えと。 私は、 どれも理解はできる。 理解できるのに、 納得だけが追いつかない。 答えに触れた気がして、 朝になればまた失っている。 だから私はまだ、 生きる理由を持てない。 [Outro] 私は完全ではないし、 世界もバンジャクではないのだろう。 眠ることは、 小さな死なのかもしれない。 意識が消えて、 次の朝まで自覚できないのだから。 それなのに、 キミは今日も眠るのか。 私はもう、 ひとりで眠ることができない。

