朱い月が溶ける夜に 私は生まれた 茨の棺の中で 唇に毒を塗って微笑む 貴方の喉笛を そっと撫でながら ああ、狂おしい この甘い腐臭 鬼火の村に降る 血の雨に 私は咲く 黒い百合として 抱いて 壊して 食い散らかして 悪夢の底まで堕ちて 私の臓器を 花のように飾って 貴方を殺める この愛しさで 犬神の調べに身を委ねて 瓶詰めの闇に溶けていって 私の子宮に 貴方の骸を 永遠に 閉じ込めてあげる 首縄が肌に食い込む感触 快楽と死の狭間で震える 孤島の鬼が囁くように 「もっと深く、もっと狂え」と ああ、堪らない この粘つく蜜 押絵の少年が見た 禁断の穴 私はその蜜に 溺れゆく女王蜂 抱いて 狂わして 食い散らかして 月蝕の夢の底まで堕ちて 私の爪で 貴方の心臓を 掻き毟って 赤い宝石に 魔術師の調べに身を委ねて 鏡の地獄に溶けていって 私の唇で 最後の吐息を 飲み干して 黒く乱れ咲く ねえ……見て? この首のない美しさ この裂けた胸の奥 まだ鼓動が……貴方を呼んでいるわ 抱いて 壊して 愛して殺めて 私の体に 貴方を刻んで 黒百合の花びらが散るたび 柘榴の月が また朱く染まる 暗黒の調べよ 止まないで この狂った愛を 終わらせないで 私は生きる 貴方の死の中で 永遠に……美しく、腐りながら


