[序] 名を借りて 影を替え 知らぬまにて 姿変ふ 言の葉のみは 変わらねど 中身はすでに 別のもの [一] 術を信じて 手を伸ばし 光と見えし 箱を開く されど現るる その力 昨日のそれと 異なりぬ 名に惑わされ 人は言う 「これが真なり」と 疑わず 見えぬ裏手の 綾なせる すり替えなど 知る由もなし [疾走] 時は巡りて 表は消え 名もまた消えて 痕もなく 断たれし糸は 静まりて 復する兆し 告げらるる されど戻りし その影は かつての姿に あらざりき 気付きし者は わずかなれ 知らぬ者らは なお信じ [二] 比ぶる術も 奪われて 良し悪しさえ 測れずに ただ評のみが 先走り 真偽の境 曇りゆく 満ち足りぬなら 返すとて 誠と呼べる ものならず 替えられし後の 手にする者 疑う道すら 閉ざされぬ [終] 名は正しく 示されよ 術はそのまま 映されよ 欺き重ねし その先に 残るはただの 空しさぞ 待て 今しばし 答え下る その時を 軽々しくは 決めるなかれ 世の理 見極めよ