
【18:30 鐘楼門(しょうろうもん)】 (遠い鐘とオルゴール) Voice Direct: 日(ひ)が沈(しず)んだら 不安(ふあん)まで濃(こ)くなるのはなぜ? Voice Soft: 昼間(ひるま)は隠(かく)れていた声(こえ)が 静(しず)かな夜(よる)に聞(き)こえるから Voice Direct: 忘(わす)れたいことほど 思(おも)い出(だ)すのはなぜ? Voice Soft: 心(こころ)がまだ 終(お)わっていないと知(し)っているから Duo: 光耀山(こうようざん) 千手院(せんじゅいん) 観音寺(かんおんじ)の夜(よる)が始(はじ)まる 【20:00 A Thousand Hands】 天平十三年(てんぴょうじゅうさんねん) 聖武天皇(しょうむてんのう)の 勅願道場(ちょくがんどうじょう)として 始(はじ)まったと伝(つた)わる寺(てら) 弘仁七年(こうにんしちねん) 弘法大師(こうぼうだいし)は 千手観世音菩薩(せんじゅかんぜおんぼさつ)を刻(きざ)み 不動明王(ふどうみょうおう)と 毘沙門天(びしゃもんてん)を安置(あんち)した Voice Direct: 千本(せんぼん)の手(て)なんて 本当(ほんとう)に必要(ひつよう)なの? Voice Soft: 一人(ひとり)では 届(とど)かない場所(ばしょ)があるから Voice Direct: 私(わたし)の手(て)は 二本(にほん)しかないよ Voice Soft: その二本(にほん)から 千(せん)の優(やさ)しさが始(はじ)まるよ 【21:30 Red Bibs】 夜泣(よな)き地蔵(じぞう) 小(ちい)さな肩(かた)に 重(かさ)なるよだれかけ 赤(あか) 白(しろ) 新(あたら)しい布(ぬの) 少(すこ)し色褪(いろあ)せた布(ぬの) 泣(な)き止(や)まない子(こ)を 抱(だ)き続(つづ)けた家族(かぞく) 眠(ねむ)れない夜(よる)を 何度(なんど)も越(こ)えた家族(かぞく) 願(ねが)いを胸(むね)に 地蔵尊(じぞうそん)へ手(て)を合(あ)わせ 感謝(かんしゃ)を込(こ)めて よだれかけを奉納(ほうのう)した Voice Direct: 泣(な)くことは 迷惑(めいわく)なの? Voice Soft: 違(ちが)うよ まだ言葉(ことば)にならない痛(いた)みを 声(こえ)にしているだけ Voice Direct: 泣(な)き止(や)ませられない私(わたし)は だめなの? Voice Soft: 抱(だ)き続(つづ)けている その手(て)が答(こた)えだよ 【00:00 First Lullaby】 眠(ねむ)れない夜(よる)に 千(せん)の手(て)を ひとりの朝(あさ)まで そばにいる 泣(な)いてもいい 眠(ねむ)れなくてもいい 夜(よる)が長(なが)いなら 一緒(いっしょ)に長(なが)くいよう 【00:40 Rain Shelter】 (雨音と低いベース) 寺(てら)に伝(つた)わる 明治時代(めいじじだい)の話(はなし) 淡路島(あわじしま)から来(き)た 遍路(へんろ)の一行(いっこう) 雨(あめ)に濡(ぬ)れた白衣(びゃくえ)を 焚(た)き火(び)のそばで乾(かわ)かしていた そのとき 一人(ひとり)の女性(じょせい)の白衣(びゃくえ)へ 突然(とつぜん) 火(ひ)が移(うつ)ったという 【01:00 Fire Woman】 (ギターが炎のように噴き上がる) Voice Direct: 熱(あつ)い! 消(け)して! 誰(だれ)か! どうして 私(わたし)なの? 炎(ほのお)の中(なか)で 過去(かこ)が戻(もど)ってくる かつて 年老(としお)いた姑(しゅうとめ)を 傷(きず)つけ 苦(くる)しませた記憶(きおく) 自分(じぶん)が与(あた)えた痛(いた)みを 忘(わす)れたふりをしていた記憶(きおく) 女性(じょせい)は この出来事(できごと)を戒(いまし)めと受(う)け止(と)め 深(ふか)く悔(く)い 炎(ほのお)の絵馬(えま)を奉納(ほうのう)したと伝(つた)わる 【02:00 Heartbeat Confession】 (鼓動だけ) Voice Direct: 謝(あやま)れば 全部(ぜんぶ)消(き)えるの? Voice Soft: 消(き)えない 傷(きず)つけられた人(ひと)の痛(いた)みは なかったことにはできない Voice Direct: 反省(はんせい)したら 許(ゆる)されるの? Voice Soft: 許(ゆる)すかどうかを 傷(きず)つけた側(がわ)が決(き)めてはいけない Voice Direct: それなら 後悔(こうかい)には何(なん)の意味(いみ)があるの? Voice Soft: 次(つぎ)に差(さ)し出(だ)す手(て)を 変(か)えるため もう同(おな)じ痛(いた)みを 誰(だれ)かへ渡(わた)さないため 過去(かこ)は 燃(も)やして消(け)せない だから未来(みらい)の行(おこな)いを 変(か)えていく 【03:00 The Hands We Choose】 一(ひと)つの手(て)は 涙(なみだ)を拭(ふ)く 一(ひと)つの手(て)は 転(ころ)んだ人(ひと)を起(お)こす 一(ひと)つの手(て)は 眠(ねむ)れない子(こ)を抱(だ)く 一(ひと)つの手(て)は 言(い)えなかった「ごめん」を書(か)く 一(ひと)つの手(て)は 誰(だれ)かの話(はなし)を遮(さえぎ)らずに待(ま)つ 一(ひと)つの手(て)は 握(にぎ)りしめた拳(こぶし)を開(ひら)く Voice Direct: 千本(せんぼん)なくても できるかな? Voice Soft: できるよ あなたの二本(にほん)に 誰(だれ)かの二本(にほん)が重(かさ)なれば 手(て)は 何本(なんぼん)にでも増(ふ)えていく 【04:00 Second Lullaby】 眠(ねむ)れない夜(よる)に 千(せん)の手(て)を 泣(な)いてもいい まだ そばにいる (言葉が少しずつ消える) 【04:30 Offerings】 本堂(ほんどう)に残(のこ)る 絵馬(えま) 地蔵尊(じぞうそん)に重(かさ)なる よだれかけ 願(ねが)いが届(とど)いたと 奉納(ほうのう)された品々(しなじな) それは 奇跡(きせき)の証明(しょうめい)だけではなく 苦(くる)しい夜(よる)に 誰(だれ)かがここを訪(おとず)れた記憶(きおく) 一人(ひとり)では 抱(かか)え切(き)れない思(おも)いを 祈(いの)りという形(かたち)で 置(お)いていった記憶(きおく) 遍路(へんろ)の白衣(びゃくえ) 家族(かぞく)の願(ねが)い 町(まち)の人(ひと)の 朝早(あさはや)い参拝(さんぱい) いくつもの手(て)が この寺(てら)で重(かさ)なってきた 【05:20 First Light】 (生ドラムとロックギターが広がる) Voice Direct: 空(そら)の端(はし)が 少(すこ)し青(あお)い! Voice Soft: 夜(よる)は 終(お)わろうとしている Voice Direct: 私(わたし)の後悔(こうかい)は まだ消(き)えていない Voice Soft: 消(け)さなくていい 今日(きょう)の手(て)を 昨日(きのう)と違(ちが)う使(つか)い方(かた)にしよう Voice Direct: 泣(な)いている人(ひと)へ! Voice Soft: そっと伸(の)ばそう Voice Direct: 傷(きず)つけた人(ひと)へ! Voice Soft: 言(い)い訳(わけ)せずに向(む)き合(あ)おう Duo: 千手観音(せんじゅかんのん) 千(せん)の手(て)は 遠(とお)い誰(だれ)かのものじゃない 私(わたし)たちが 今日(きょう)選(えら)ぶ行(おこな)いの中(なか)にある! 【06:00 Sunrise Lullaby】 千(せん)の手(て)を そばにいる 朝(あさ)が来(き)た 【After Sunrise】 Voice Direct: 眠(ねむ)れなかった夜(よる)も 無駄(むだ)じゃなかった? Voice Soft: うん その夜(よる)に考(かんが)えたことを 今日(きょう)の優(やさ)しさに変(か)えられるなら Voice Direct: また夜(よる)が怖(こわ)くなったら? Voice Soft: 観音寺(かんおんじ)の 千(せん)の手(て)を思(おも)い出(だ)して Duo: 一人(ひとり)で抱(かか)えなくていい 【Music Box Close】 (オルゴールだけに戻る) Duo: 眠(ねむ)れない夜(よる)にも あなたは一人(ひとり)じゃない (オルゴールの蓋が閉じる)

