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頭がいいって何だろう

V6

[Intro] 答案用紙が 返ってくる 一番前 百点 その後ろ 六十二点 先生が言う 「よくできました」 赤い丸が いくつも並ぶ 僕は 二つの答案を見ていた 同じ教室 同じ問題 同じよんじゅうごふん だから 同じ条件だと 思っていた [Verse 1] 一人の家には 子どもの頃から 本棚があった 分からない漢字を 聞けば 父さんが 教えてくれた 「どうして?」 と聞けば 母さんが 一緒に調べた 夜には 自分の机 明るいライト 明日のことを 考える時間 大学の話も 仕事の話も 夕食の向こうから 聞こえてきた それは 悪いことじゃない 恵まれていることを 責めたいわけでもない ただ その子が 最初に立っていた場所を 僕は 知らなかった [Verse 2] もう一人の家には 机がなかった ランドセルを 床に置いて 台所の端で 宿題をする 母さんは まだ帰らない 冷蔵庫を開ける 昨日のご飯 少し 弟が言う 「お腹すいた」 「待って」 卵を一つ 二人で分ける 洗濯物を入れる 風呂を沸かす 弟を寝かせる 時計 十一時十八分 教科書を開く ………… 明日 テストだった [Pre-Chorus] 同じ教科書 同じ問題 同じ制限時間 でも そこへ来るまでの 二十四時間まで 同じだったのだろうか [Chorus] 頭がいいって 何だろう 百点を取ること? 速く答えること? 知っている言葉が 多いこと? それなら 誰が教えてくれたか どれだけ眠れたか 考える時間が どれだけあったか そんなことは どこへ行くんだろう 六十二点と 百点を 横に並べただけで 僕らは どこまで その人を 知ったことに できるんだろう [Verse 3] 昼休み 百点の子が 六十二点の子に聞いた 「昨日 あの問題やった?」 「やってない」 「なんで?」 「時間なかった」 「ゲーム?」 「…………ううん」 それ以上 話さなかった 放課後 六十二点の子は 誰より早く 教室を出た スーパーへ寄る 卵 牛乳 半額のパン 財布を開く 残り はっぴゃく よんじゅう えん 牛乳を戻す パンを戻す 卵だけ かごに残す その手は 暗算を 間違えなかった [Pre-Chorus 2] これは テストには 出ない 弟が泣いたとき どうすればいいか 百円で 何を買えば 明日の朝まで持つか 誰にも聞けない夜を どうやって越えるか それを 何点と 呼べばいいんだろう [Chorus] 賢いって 何だろう 正解を 知っていること? 知らないときに 考えること? 助けを呼べること? 誰かを 守ること? 僕らが測っているのは もしかしたら その人の中の ほんの 細い一本だけかもしれない 測れたものを 比べることと 人間全部を 比べることは 同じじゃない [Bridge] 数年後 百点だった子は 大学へ行った 六十二点だった子は 働き始めた ある日 駅で 二人が会った 「久しぶり」 「久しぶり」 「俺さ 昔 頭いいって 言われてたじゃん」 「うん」 「でも最近 分かんないんだ」 「何が?」 少し笑って 彼は言った 「頭がいいって 何なんだろうな」 六十二点だった彼も 笑った 「俺に聞く?」 「聞く」 電車が来る 二人とも 乗らない ホームの端で 話を続ける [Final Chorus] 頭がいいって 何だろう きっと 一つじゃない 百点を取れる力も ひとつ 知らないことを 学べる力も ひとつ 今日をなんとか 明日へつなぐ力も 誰かのために 卵を一つ残すことも 同じ名前では 呼べないかもしれない だから 比べるなら せめて 覚えていたい 答案用紙には 書かれていないものが その人の後ろに ずっと 続いていることを [Outro] 百点 六十二点 二枚の答案 数字は 消さなくていい ただ その数字だけで 「君のほうが賢い」と 言い切る前に 一度だけ その人が どこから ここまで来たのか 考えてみたい © Kamo Please do not re-upload, redistribute, or release this song or its lyrics on other platforms without permission. 無断転載・再配布・無断での音楽配信はご遠慮ください。