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山猫の沼

V6

茂みをかき分けかき分け  奥へ奥へと進んでゆく。 あたりはひっそり静まり返っている。 山鳥のさえずりさえ聞こえない。 草と木と土の匂い。 ひどい汗。 不意打ちのように茂みが途切れ  目の前に小さな沼が現われる。   ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ なんだろう。 妙な音。 沼の対岸で水を飲む。 それは山猫。 ふと顔を上げ  こちらを見る。 視線が合う。 その縦長の瞳。 すぐにつまらなそうに目をそらし  山猫は再び水を飲み始める。   ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ 小さな舌が 水面に波紋を作る。 それは沼のこちら側まで広がる。 波紋は岸で終わらない。 だから僕の足が 柔らかな地面に沈んでゆく。