静かな墨田の地に、 ひとつの願いが落ちてきた もっと遠くへ もっと高く―― その願いは大地に沈み、 深い層で脈を打ち始めた 鉄が編まれ、コンクリートが流れ込む 「ここから空へ向かおう」 大地が静かに鳴り、 物語が始まった 深い地層が呼んでいる 眠りの奥で光が揺れた 鉄の森が編まれるたび 未来の影が形を持つ コンクリートの静かな海 その底で命が芽吹く 支えるために生まれた場所 ぼくはここから伸びていく 塔の中心には、一本の“心”が生まれた 心柱――揺れを吸い、塔を守るもうひとつの魂 「空へ向かうなら、お前を支える」 塔はその言葉に静かに震えた 影を抱きしめる柱が ぼくを静かに立たせる 離れていても寄り添える そんな強さを知った 空へ――空へ―― 鉄の脚が立ち上がる 三角の翼が広がり 夢が輪郭を持つ ぼくはまだ小さな塔 それでも空を見ていた 誰かの願いが ぼくを押し上げていく 高さが増すほど風は冷たく、 作業は過酷だった クライミングクレーン―― 自らを引き上げ、 塔をさらに高く導く職人 「行くぞ!まだ先がある」 塔は空を諦めなかった 風が砕ける高空で 手は決して止まらない 未来の線が描かれる そのたびぼくは伸びた 積み重なる鉄の階段 呼吸のように重なって ぼくは空を知りはじめる 少しずつ、少しずつ もっと高く もっと遠く 胸が叫び続ける 風に試され 夜に抱かれ ぼくは背を伸ばしていく ムサシへ―― 夢が現実へ変わる 地上に横たわる白い巨体――ゲイン塔 それはゆっくりと立ち上がり、 塔の中心を通って天へ昇る 「これがぼくの未来だ」 そしてついに―― 634メートルへ 白い光が昇る ぼくの中を通って 未来がひとつに 結ばれていく 寄り添う手と 重なる技が ぼくを空へ導く この瞬間こそ 誓いの頂―― ぼくは空の塔となる 空へ――空へ―― ぼくはついに届いた 風が祝福のように 身をすり抜けていく 夜を灯す光をまとい 街の夢を映しながら 今日もぼくは立っている 大地に支えられ 心柱に守られ 人々の希望を背負い 空を向く塔となった 2012年 ぼくは世界へ目を開いた 風を聞き、街を照らし続ける ――夢は空へ届く その証として


