
窓ガラスを叩く夏の雨が 音を立てて夜を濡らす 少し気だるい湿った空気が 肌にまとわりついて離れない どこか寂しさが募る部屋の中で ひとりぼっちの部屋の隅 気づけば自然とあなたの姿を 暗がりの中で探しているよ 足元で鳴いた猫が 低く甘えるように喉を鳴らした もしもこのまま何も言わずに 気持ちをずっと隠していたなら 巡る季節の隙間に 後悔だけが取り残されていくのかな そんな小さな呟きを 夜の静けさの中で何度も繰り返してる 眠気にまどろむ意識のなかで ぽつりと零れた本音 ねぇ、ホントはどんな風にこの想いを 伝えればいいのかな 胸の奥で渦巻く切なさが 熱を持ってあふれ出しそうだよ ねぇ、もうこれ以上ひとりで 泣かなくてもいいんだよね 雨音に溶けていく私のため息を 優しく包み込んで いつの間にか浅い眠りにつき 目覚めた窓の外はまだ いつまでも終わらない雨が 音もなくアスファルトを叩き続ける ジメッとした重たい夜の気配が カーテンの隙間から忍び込む あなたがいないこの部屋の広さが やけに冷たく感じられて また同じ場所で立ち止まっている 自分に気づくんだ ずっとこの距離のままで 壊さないように怯えていたなら いつか訪れる終わりを ただ静かに待つだけの毎日だよね そんな迷いを断ち切るように 小さな決意が胸をかすめる スマホの画面に映る空白が やけにまぶしく光っていた ねぇ、ホントはもっと素直な言葉で あなたを呼びたいのに 喉まで出かけたフレーズが 雨の音にかき消されてしまうよ ねぇ、もう過去の痛みに 縛られなくていいんだよね 震える指先で紡ぐ言葉が 夜の闇にそっと溶けていく 薄明かりの中 ぎゅっと握りしめていた手のひらを開いてみる そこには行き場を失った あなたにあてた想いの文字が残っていた あまりにも真っ直ぐすぎるその言葉が 今の私には眩しすぎて 少し恥ずかしくなって 思わず画面の文字をすべて消してしまう それでも消えきらない温もりが まだ胸の奥で小さく揺れている ねぇ、ホントはこんな弱虫な私を 抱きしめてほしいの 雨上がりの匂いが少しずつ この部屋にも届き始めているよ ねぇ、もう隠さなくてもいいんだよね この溢れる愛しさを 涙の跡が乾く頃には あなたのもとへ歩き出せるかな ねぇ、わたしはもう…… 迷わないから 窓の外の雨がやさしく 上がり始める 足元で丸くなった猫が 小さなあくびをひとつして眠りにつく 静かな夜の終わりの物語


