
硝子檻のクロノスタシス(Flamenco Ver)
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V5.5
歪んだグリッチが 街を塗り潰す 鳥籠の天井 校舎の乾いた屋上 風のナイフが 震える輪郭を撫でて 誰の目にも 触れぬ奈落へ 祈りのように 鍵をかけた 胸の奥 耳鳴りのように 降り積もる不可能性の山 「諦め」という名の 錆びた楔が深く 義務と禁止の 鉄格子に囲まれて 憧憬(あこがれ)は どこへ忘れてきたのだろう 呼吸を模した 模造品の秒針 言葉は いつだって剥き出しの刃 放たれた銀の矢は 軌道を変えられない 誰かを 己を 深く抉(えぐ)り 取り戻せない 悔恨の澱(おり) ひとは言葉の 毒を仰いで 絶望に沈む わたしの時計は 砂に埋もれたまま あの日 見上げた灰色の空の下 チクタク、チクタク、鼓膜を侵す幻 心は 硝子(ガラス)の檻の中 従順な破滅が 正しいのなら ノイズの海で 息絶える魚のように ひとり 泣いていた 放課後の鐘は 遠く歪(ひず)んで 液晶の向こうで 滲むプリズム 無機質な正しさに 削られていく輪郭 エフェクトの底に 埋葬した 剥き出しの わたしの温度 言葉は 容赦なく生爪を剥ぐように 消えない烙印を 刻みつけるけれど 凍結した 永夜の果て 暗闇を 裂いて届いたのは 静かな 救済のフレーズだった ねえ、この歪んだ羅針盤を 進めてもいい? 言葉の刃に 倒れたとしても ひとは言葉の 灯火(ともしび)で 生き返る 本当の わたしを 呼吸させて わたしの時計は 砂に埋もれたまま だけど 胸の熱(ひ)は まだ消えていない 凍てついた硝子を 叩き割って 剥き出しの足で 境界線を越える 諦める呪縛の 糸を断ち切り できない理由は 空白へ還す 泣き腫らした 瞳の網膜に 夜明けの青が 融けていく わたしの時計が、いま 脈を打つ。


