
ようこそ うちの子博覧会へ 私はただの 見学者です そのはずでした 魔王の娘 神様の孫 呪い 転生 復讐 贖罪 筋肉 千年生きてる 見た目は十七 世界を滅ぼす 予定は未定 紹介パネルに 詰め込みすぎです 情報量が 多すぎます 一人ずつ 見せてください うちの子じゃないんです 展示される側じゃないんです 私はただの一般人 勝手に設定増やさないで 相関図の真ん中に 私を置かないで そもそもうちの子って 誰の子なんですか メガネの蝶ネクタイ 「真木込さん また会ったね」 なんで名字を 覚えてるんですか 名探偵の孫 「よう、真木込 久しぶり」 幼馴染にまで 頭を下げさせないで 天パの大学生 私がつまんだ 袖口をつまむ それ 私の癖ですよね 無意識なんですか 余計に怖いです 浅黒い 西の探偵 「せやかて」 何に対しての せやかてですか 紅茶の香りの 銀髪少女 カップを置いて 目を逸らさない なんで一人だけ 真っ向勝負なんですか 会場の皆さん 今すぐ逃げてください うちの子じゃないんです 推理される側じゃないんです 皆さんの大事な子を 静かに見たいだけなんです 伏線みたいに こちらを見ないで 私は 真木込家の娘です 会場中央 巨大なパネル 真木込真礼 二十歳 女子大生 行く先々が 事件現場 どんな事件に 巻き込まれても生還 人は彼女を 死神と呼ぶ 誰が書いたの 死神じゃない 生き残っただけ 旅情 水族館 展示会 呼んでもないのに 事件が来るだけ 死神は あいつらでしょ 探偵たちを 指差した メガネの蝶ネクタイ 目を逸らす 名探偵の孫 幼馴染の背中に隠れた 浅黒い 西の探偵 「せやかて」 今は黙って 天パの大学生 静かに一言 「真木込さんが 毎回いたのは 事実ですよね」 それは因果じゃなく 相関です 紅茶の香りの 銀髪少女 ため息一つ 「バカか、君は」 はい、即死 外傷なし 事件性なし なのに致命傷 うちの子じゃないんです 事件耐性が高いだけです 爆発しても 崩落しても なぜか最後まで 立っている だけど理屈で 追い詰めないで 事件からは 生還できても 舌戦からは 生還できません ありがとう 巻き込まれてくれて ありがとう 今日も生きていてくれて 否定するたび プロフィールへ 設定が一行 増えていく これは感謝ですか 被害報告ですか うちの子扱い いつ決まったの ほかに六人くらい いるの知ってます 私は何にも 聞いてません うちの子じゃないんです 展示される側じゃないんです 私は 普通の女子大生 事件はまだ 起きてないんです 休憩所で 全身黒タイツが笑う 犯人でも うちの子なんですか 凶器も動機も ないんです なのに会場そのものが もう事件です 奥のステージで 筋肉の神が 暑苦しく微笑む 相関図に入れないで レギュラーにしないで だから うちの子じゃないんです

