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『想像』といふ『創造』の欠片(穂乃香)

V6

「想像」という言葉を わたしはひとつ 口にしてみた ゼロから始まるキーワードに 何かが生まれたような気がした それを人々は 「創造」というのだろうか それとも ただの空想なのだろうか 目を閉じれば 見えないものが見えてくる 目を開ければ 見えていたものを見失う ないものを あると想い あるものを ないと想ふ そうして今日も わたしは世界を 勝手に描き変えている 想像を創造して 創造した像をまた想ふ 寄り添う像 反り返る像 「そう」と言うだけで 言葉は別の顔になる 同じ音なのに 違う意味 違う意味なのに どこか似ている その曖昧さを踏み越えて まだ知らない世界へ一歩 『想像』という『創造』の欠片を ひとつずつ 拾い集め まだ名前のない景色に 名前をつけてゆく 空を想えば 空が生まれ 海を想えば 波が立つ あなたを想えば わたしの中に あなたが生まれる それもきっと 小さな創造 「そうだ」と人々が言えば わたしは「そうです」と答える 「そうじゃない」と人々が言えば わたしは「層が厚いだけ」と答える 寄り添う像 創り上げる像 重なり合う像 遠ざかる像 残り続ける 残像 心にだけ映る 心像 像を想い 想いが像になり 像からまた 新たな物語が 歩きだす そうぞう 想像 創造 空想 妄想 ……騒々? 頭の中は 静かなふりをして いつだって 少しだけ 騒がしい 昨日の記憶を 今日のわたしが書き換える 今日の記憶を 明日のわたしが読み違える 記憶もまた ひとつの想像なら わたしたちは毎日 過去さえ 創造しているのかもしれない 『そうぞう』する それは 無いものを 無理に作ることではなくて まだ見つかっていないものに そっと 灯りを当てること 『想像』といふ『創造』の欠片を 指先で そっと並べて 言葉と言葉の隙間から 知らない世界を覗いている 一文字変われば 意味が変わり ひとつの意味から 景色が変わる 「ことば」はきっと 世界でいちばん小さな 創造装置 肖像は 誰かを写し 残像は 誰かを残し 偶像は 誰かを信じ 心像は 誰にも見えない それでもすべて 「像」と呼ぶ ならば、 想像の「想」は 心に相うと書いて 創造の「創」は どこか傷にも似ている 心に触れて 少し傷ついて そこから生まれたものこそ わたしだけの 創造なのかもしれない 『想像』といふ『創造』の欠片。 それは 絵になる前の色 歌になる前の音 言葉になる前の声 夢になる前の ほんの小さな予感 まだ何者でもないものを 「何かになれる」と 信じてみること。 見えないものに 輪郭を与えて 名前のないものへ 名前を与える その瞬間 想像は 創造へと変わってゆく。 想像して 創造して また想像して そうして世界は 少しずつ 増えてゆく。 わたしの中に あなたの中に そして、 まだ誰も知らない 「そうぞう」の、その先へ