風が吹いてきた 柔らかな風だ 僕はふと思いたち その匂いを嗅いだ 春の匂い そんなものを期待したのだが 何も感じない 犬じゃあるまいし 苦笑いの後ろで小さな寂しさを感じた みんなウキウキしているのだろうな 春はそんな気がする 少し強い風がきた いい晴れ模様だけど 春の空は変わりやすいという 街路樹の若葉が一斉に騒ぎ出す 見えないかな 僕はふとそう思って目をこらす 風がいくつもの円を描きながら 通り過ぎていく様子を想像する 見えるわけないか それでも風は僕の周りに纏いつく そろそろ帰るか ゆっくり振り返り 来た道を戻る 時々すれ違う人は 何故か優しく微笑んでいるように見える みんな春が嬉しいのだ そんな思いが僕の中にあるように 静かに時間が過ぎていけばいいな あれっ 僕は立ち止まる 僕は寂しいのかもしれない