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午前2時の標本

STUDIO

部屋の隅で 夜が息をしてる 冷めた光が 床に落ちている コンビニの袋が 椅子の影で眠る 開けなかった窓に 知らない街が映る 時計の音だけが 少し遠く聞こえて 僕の中のどこかが まだ帰ってこない 濡れたままの記憶を タオルで拭くみたいに 何度も同じ場所を 指でなぞっていた 名前をつけたら 壊れてしまいそうで 黙ったまま 息だけ数えてる 夜が薄く伸びて 部屋の角でほどけていく 僕は息をするたび 少しずつ遠くなる 心の奥にある 小さな水たまりで 昨日の僕と今日の僕が 黙ったまま揺れてる 明け方になる前に 全部忘れてしまえたら それでも残る光を 何と呼べばいいんだろう 冷蔵庫の低い音 誰かの夢みたいで 水を飲んだ喉に 青い月が沈む 画面の中の言葉は どれも少し軽くて 本当のことほど 送れないまま光る 僕じゃない僕が 僕のふりをして 今日もちゃんと笑った その顔を思い出す 正しさの形に うまく入れない夜 まぶたの裏で 白い魚が泳ぐ 夜が薄く伸びて 部屋の角でほどけていく 僕は息をするたび 少しずつ遠くなる 心の奥にある 小さな水たまりで 言えなかった言葉たちが 沈まないまま揺れてる 明け方になる前に 全部許してしまえたら それでも痛む場所を 何と呼べばいいんだろう カーテンの隙間から 街灯が滲んで 誰にも見えない雨が 胸の内側に降る 眠るには遅すぎて 起きるには早すぎる そのあいだで僕は 輪郭だけを失くす 夜が薄く伸びて 部屋の角でほどけていく 僕は息をするたび 少しずつ遠くなる 心の奥にある 小さな水たまりで 昨日の僕と今日の僕が やっと同じ顔をする 明け方になる前に 全部忘れてしまえたら それでも残る光を そっと抱えて眠ろう 誰にも見つからない 名前のない感情を そっと並べておいた