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ヴァルター先生の憂鬱(in「時計仕掛けのノイエ」)

STUDIO

午後の日差しに 校庭が照らされる 4年生たちは 箒での飛行実習に 先立ってランニングで 体をほぐしている 飛行魔法には 王国からの免許が 必要で 発行許可を取るまでは 随分と骨を折った それは彼らの与り知らぬ 大人たちの汚い駆け引き 伏せたカードに隠された これはまだ教えてあげられないな 我らが伝えるべきは 義務と責任 法と秩序で 健全で安全な魔導士 社会に貢献する者を 送り出すためには 隠して 黙して 切り捨てる事もある 禁断の書架の鍵は 校長ですら自由には出来ない 内務卿との交渉には 随分と苦労した 先々代の校長と 何度も王宮を訪ねたものだ 魔導王国期の歴史は これも詳細を語れぬもの 黒塗りだらけのテキストは かえって好奇心を誘うもの 認識阻害の呪文で 隠してはあるのだけど、ね 世界の土台を揺るがした 我らが先人の過ちは 決して繰り返してはならぬ たとえ真実に蓋をして 地に埋めようとも 隠して 黙して 眠らせねばならぬもの あの娘の義父は それが出来なかった男だ 禁書を暴き 禁呪を手にした 逸脱こそが 魔導の本質だと 曲げることを しなかった 放逐された あの頃 あの時にも 我らは彼に石を投げた 学舎を守る意思として 間違っては居ないはずだ あまりに彼は異端すぎた あまりに奴は危険すぎた どこまで 話して いいものなんだろうな まさか貴様が 人の親になるなど 思いもよらなかったよ なぁ アルベルト 狂気の天才 真の 魔導士よ