
3月の終わり 机の上に白い紙1枚 「4月1日付で あの支店へ」 それだけの文字列 周りの目が泳いで 俺だけ時間が止まった 築いたもの全部 段ボールに詰めろってか 行きつけの店も 馴染みの街も置いていく 後輩が泣きそうな顔で 「嘘でしょ」って言った 嘘じゃねえよ 俺だって信じたくなかった だけど辞令ってやつは 撤回なんかされない 走れ 走れ 止まってる暇はない 新天地の風が 頬を叩いても 負けるかよ 折れるかよ ここからが本番だ 誰も知らない場所で 名前を刻んでやる ――これが俺の答えだ 悔しいなら 噛み締めろ この唇を 涙なんか 改札の向こうに 捨ててきた 知らない街 知らない顔 それが何だってんだ ゼロからだろうが 俺は俺だろうが 不安なら叫べよ この喉が枯れるまで 弱さごと全部 スーツケースに詰め込んだ 始発のホームで 吐く息が白い朝 新しい靴紐 きつく結び直した 走れ 走れ 振り返るなまだ早い 見知らぬ土地の 朝日が目を灼いても 負けるかよ 折れるかよ 何度でも立ち上がれ 俺がいた証を この街に叩き込む ――これが俺の生き方だ 引っ越し荷物の隅に 送別会の写真 「絶対また飲もう」 そんな約束が重い 新しい部署の名簿 誰一人知らない名前 アウェーの空気に 飲まれる気はさらさらない 誰かに決められた 道だとしても 歩く足は自分のものだ ――だったら 全力で踏み鳴らせ! この靴底が 擦り切れるまで! 走れ 走れ どこまでだって行ってやる 新天地の風が 追い風に変わるまで 負けるかよ 折れるかよ 辞令1枚で終わるか ゼロからでも百にする それが俺の意地だ ――ここから始めてやる! "行ってきます――!"

