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メビウス

V6

泣いてる奴の隣にいて 何も言えずに座っていた ずっと昔の僕にも誰か 同じことをしてくれていた あの時なんで黙ってたんだ 少しくらい喋れよなんて 思っていたのを思い出して 今さら少し悔しくなった 貰った時には分からなくて 渡す頃には忘れてる 誰のものでもなくなってから やっと誰かのものになる 表と裏を辿るたび 立ってる側が入れ替わる 救われたなんて気づかずに 覚えた仕草で誰かを救う 痛かった言葉を嫌ったくせに 別の口からまたこぼす 優しさだって同じように 知らないところまで巡っていく 父親がよく言っていたこと 嫌いだったから聞き流した 何年か経って気がつけば 同じ調子で口にしていた 慌てて飲み込んだその声に 嫌だった理由まで蘇る 似たくなかった背中から 貰ったものまで嫌えなかった 渡したものは覚えてなくて 貰ったものだけ覚えてる そんな小さな食い違いで 人から人へ運ばれる こちらと向こうを分けたって 指で辿れば繋がっている 傷つけられた記憶さえ 誰かを傷つける刃になる だったら逆もあるだろう 何気なく貰ったひとことで 知らない誰かの苦しい夜を ほんの少し短く出来る 始めた奴を探したって たぶん見つかりはしないだろう 最初に誰が渡したのか 誰も覚えちゃいないだろう それでも確かに受け取って 知らないうちに渡してる どちら側に立っているのか そんな区別も曖昧になる 貰った痛みを渡す日も 貰った優しさを渡す日も 同じこの手で繰り返して 何度も立場を入れ替える 誰かにされたことばかり 誰かにしてしまいながら いつか貰った優しさだけは 少し多めに渡してみたい 昔 何も言わず隣にいた あの人みたいになれなくても