
忘れたかったわけじゃない
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V5.5
ふっと 名前が浮かんで すぐに 手を伸ばした 頭の奥にある 小さな机の上 今日やることばかり 散らかったまま増えていく 電車の時間とか 返さなきゃいけない返事 買い忘れたもの 明日の朝の支度まで その隅に キミを置いたつもりで 大事にしてたはずなのに 紙の山にまぎれて 見えなくなる日がある 忘れたかったわけじゃない 薄くしたかったわけじゃない ただ息をするだけで 一日が過ぎてしまう 思い出せた瞬間に 胸の奥が崩れていく キミを置いてきたみたいで ごめんねだけが 残った 三月の風はまだ 服の袖にいるのに 季節だけ勝手に 知らない顔で進んでく 笑った声の形 何気ない言い方 ちゃんと抱えていたい そう思っているのに 頭の中の机は 広くなんてないらしい 大切なものほど しまう場所に迷ってる 忘れたかったわけじゃない 薄くしたかったわけじゃない 生活の波の中で 手を離してしまうだけ 気づいたその瞬間に 言葉がうまく出てこない キミが遠くなったみたいで ごめんねだけが あふれた 覚えていたい ちゃんと覚えていたい 声も 癖も くだらない話も 覚えていたい ちゃんと覚えていたい でも僕は今日も 靴ひもを結んで 外へ出る 忘れたかったわけじゃない 薄くしたかったわけじゃない 生きていくたび少しずつ 手の中がこぼれていく 思い出せた瞬間に またキミを抱きしめ直す 遅くなってしまうけど ここにいるよと 言いたい 頭の奥にある 小さな机の上 今日もキミの名前を そっと置き直した

