1. 声を荒らげず 旗も掲げず ただ 静かに 川は流れる 禁を重ねれば 盗みは増え 掟を厚くすれば 心は遠のく 無為の手が 民を育て 静けさが 国を包む 欲を捨て 己を消せば すべては 自然に調(ととの)う --- 水のように治めよ かき混ぜれば 魚は砕ける 低きに身を置けば すべては やがて集う 禍(わざわい)は福へ 福は禍(わざわい)へ 巡る輪を 切ろうとせず 光を隠し 鋭きを削ぎ ただ 流れに身を任せよ --- 2. 暗き政(まつりごと)は 民を楽しませ 明るすぎれば 不満の影 福は禍(わざわい)を孕み 禍(わざわい)は福を孕む その終わりを 知る者はいない 聖人は裁かず 直くして驕らず 粛として 咲かぬ花のように 己を誇らず 他を責めず --- 嗇(しょく)の心を抱きしめよ 満たされても 使い切るな 残しし力は やがて徳となり 国を永らえさせる 人の身もまた 命を惜しみ 根を温め 長きを保つ --- 水のように治(おさ)めよ かき混ぜれば 魚は砕ける 低きに身を置けば すべては やがて集う 禍(わざわい)は福へ 福は禍(わざわい)へ 巡る輪を 切ろうとせず 光を隠し 鋭きを削ぎ ただ 流れに身を任せよ --- 3. 小(ちい)さきを抱(いだ)く大国よ 求めず 奪わず 慈しみの手を差し伸べよ それは 川が海を抱くように 小国(しょうこく)は自ら寄り添うだろう 怨みに徳を返し 憎しみの芽を摘む 争いの種を絶やすことこそ 最(もっと)も深き勝利 --- 味なき味を味わい 事なき事を成し その足跡を 砂に隠して ただ 風と水と共に 世は治まり 人は笑(ほほえ)む 水のように治(おさ)めよ その流れは 永遠に ---