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帰り道の沈黙

V6

午前二時のビルを出て 君の車に乗り込んだ 「お疲れさま」その一言 窓に流れる街を見た ラジオから優しい歌 知らないふりで聴いていた 君の横顔 信号の赤 言葉はずっと喉の奥 家まであと少しなのに この道が終わらなければいい 何もなかった夜なのに どうしてこんなに覚えてる 君が火をつけて差し出した 煙草ひとつのぬくもりを 触れもしない 好きとも言わない それでも心は知っていた 帰り道の短い沈黙が 一番甘い秘密になった 灰皿の蓋をそっと開け 君は前だけ見つめてた 「明日も早いね」笑う声 私は小さくうなずいた 窓の外のコンビニが 後ろへ静かに遠ざかる 受け取った火のあたたかさ 指先にまだ残ってる ドアを開けたらいつもの朝 何も変わらない顔をする 何もなかった夜なのに どうしてこんなに覚えてる 君が火をつけて差し出した 煙草ひとつのぬくもりを 手もつながず 約束もせず それでも心はほどけてた 「また明日」と告げた声まで 今も胸の奥で甘い あれが優しさだったのか それ以上だったのか 聞けないまま季節が過ぎても あの夜だけは薄れない 何もなかった夜なのに 一生忘れない気がしてる 君が火をつけて差し出した あの静かな横顔を 触れもしない 好きとも言わない だからきっと綺麗なまま 帰り道の短い沈黙が 私の大切な秘密 家の前でドアを閉め 「ありがとう」だけ伝えた 何もなかった夜のこと 今もそっと覚えてる