
軋む階段 数えて三つ 開かずの扉に 鍵などないよ 迷い込んだか 哀れな子羊 ここは眠りを忘れた 書架の底 背文字が擦れ 真鍮が笑う 頁を捲る指を止めなさい ……忠告はした ……それでも覗くのか? さあ踊れ 羊皮紙のロンド インクの滴が五線譜を跳ねて 誰も知らない禁忌のステップ 夜が明けるまで 本を閉じることは許されない 埃を払えば 蠢く挿絵 天文図の針が 逆さに回る 読めば読むほど 絡め取られて 出口の文字だけが 綺麗に消えた 壁のパイプから 忍び笑いの笛 解けない暗号に 惑わされなさい ……逃げ道なら、もう残っていない 狂い咲け 革表紙のロンド 金の箔押しが月光を裂いて 呼吸を忘れた狂言のワルツ 最後の頁まで 踊り明かすのが礼儀だろう? ……しーっ、静かに 耳を澄ませば 自動仕掛けのチェンバロ 奏者なき鍵盤が 君の名を綴る 知ってしまったんだな 世界の裏側の数式を ……もう、元の世界には戻れない さあ歌え 魔導書たちのロンド インクと影が螺旋を描いて 夜の深淵へ 手招くステップ 夜明けの鐘が鳴るまで この悪夢は終わらない ……おや、もう息が上がったのか? 次の頁を捲るのは、君の番だ

