
花魁道中 宵の月 五つの影が すれ違う 揺れる提灯 香の煙 あの方ひとりを 目で追った 「金に困らぬ 楽な暮らしが 欲しいだけでありんす」 黄金の簪 揺らしながら 笑う唇は 嘘をつく 「顔が好き」と ひとりが言えば 「夜の相性が いいのさ」と 白粉の下で 火花が散った 恋の値打ちは 誰が決める 金も 顔も 肌の熱も 欲しいものなら 譲れない 退きなんし 退きなんし わっちの恋路でありんす 咲き誇れ 恋の戦 花と毒とを 袖に隠し あの方の胸を 奪うまで 紅を引いた この命 交錯する 赤い糸 絡まり 捻じれ 引き切れる 負けるために 咲いたんじゃない 女の意地を 見せなんし 「性格が好き」と あの娘は言った 誰より優しく 笑うから 「そんな綺麗な 言葉だけで 奪えるものと 思いなんす?」 「声に魂を 奪われたの」 最後のひとりが 目を伏せる 夜ごと名を呼ぶ 低い響きに わっちのすべてを 売りんした 香を焚きしめた 細い指 簪の先に 甘い毒 笑ってみせた その瞳には 泣いた夜だけ 棲んでいる 情も 怨みも 純な願いも 欲にまみれて 美しい 退きなんし 退きなんし ここから先は 戦でありんす 咲き乱れ 恋の戦 愛も欲も ひとつの花 その手を取るのは わっちだと 誰もが紅を 深くした 交錯する 赤い糸 絡まり 捻じれ 引き切れる 傷つくたびに 鮮やかになる 恋の地獄へ おいでなんし 「ぬし様、ひとつだけ 誰の指を 選びなんす?」 答えの代わりに 風が鳴り 花びらひとつ 頬を撫でた 月が傾く 花魁道中 乱れた裾を 踏みしめて 最後に残る 一本までも この手で掴み 離さない 咲き誇れ 恋の戦 花と毒とを 抱いたままで あの方の胸を 奪うまで 紅を引いた この命 交錯する 赤い糸 絡まり 捻じれ 引き切れる 選ばれなくても 構わない わっちは恋に 生きるだけ 退きなんし 退きなんし 朝が来るまで 戦でありんす 花は散っても 毒は残る 恋の戦は 終わらない

