薄青い 水の底 光だけが 揺れている 握る者も ないこの手に 葦の葉が 触れた 動かぬ脚を 見つめていた 波の揺り籠 揺れるたび この手が 悪いのか この脚が 罪なのか 還されたのか 送られたのか 神の国へ 届くのか それとも これは 別れの船か わたしは 要らない子だったの? 名前を呼ぶ声もなく 還れと言われたのか 棄てられたのか 教えて 教えて この空の向こう 届かぬ声を 掻き毟り ただ 波だけが わたしを 運んでゆく 遠ざかる 岸の果て 泡に消えてく 神の影 振り向いても そこにはもう 知らない 空がある 何故 わたしだった 何故 この身体だった 答えを知らぬ この身には 問だけが 残された 返して欲しいと 叫べばいいのか 戻して欲しいと 憎めばいいのか 教えて欲しいと 泣けばいいのか わたしはまだ 何も 知らない わたしは 要らない子だったの? 生まれたことが 過ちなの この手に なにを この脚に なにを 残していけば 良かったの 教えて 教えて 遠ざかる人よ あなたの声は もう聞こえない ただ 波だけが わたしを運んでゆく もしも この脚が 力強く 動いたなら もしも この声が あなたに 届いたなら ……それでも わたしは ここに 生まれたのに わたしは 要らない子だったの? わたしは 要らない子だったの? 名前を 呼ばれることもなく 行先さえも 知らされず 返して 返して 何を返すのか わたしは なにを 失ったのか 教えて 教えて もう 届かない 声が枯れるまで 叫んでも 海は 応えない 潮風が 頬を撫でた 薄青い 水の底 光だけが 揺れている 還されたのか 棄てられたのか