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臨界前夜~VOLⅡ#18~

秒針が呼吸を追い越す 窓の外、街はまだ知らない 言いかけの「大丈夫」が 唇で凍る 正しさのカサで 火の気を隠してた ノートの端っこに 小さな式を書く 心 × エネルギー(エネシン)= 伝わる力 増やすより 削っていい 声の量より 温度の行き先 **角度(むき)**を一度 君の目線へ **拍(はく)**をひとつ 胸で合わせる 臨界前夜 光はまだ見えない 沈黙が味方になる直前 「がんばれ」より「ここにいるよ」 短い一行で 回路が温まる 心 × エネルギー(エネシン)= 灯りの萌芽 ゼロと一の間に 火種が宿る 失敗の痕が 指に残って 比べすぎた音が 耳を曇らせる 君が小さくうなずく それだけで 散らばった粒子が 同じ方角を見る 焦らなくていい 臨界はやさしく来る 言い換えは逃げじゃない 橋のかけ方だ “私”から“あなた”へ 主語を一度入れ替え 距離のメモリが ひとつ縮む 臨界前夜 闇は敵じゃない 見えない温度が 音に変わる瞬間 「つらかったね」を 君の辞書で置いて 胸のメトロノーム 同じ速さになる 心 × エネルギー(エネシン)= 灯る回路 教室の明度が ひとつ上がる (無音の一拍) 正しさよりも あなたの痛点(いたみ) 触れない距離で そっと守る (無音) 呼吸が重なる 世界が静かに偏る 臨界前夜を抜けて 臨界点へ ゼロだった式に 灯りが差し込む 角度・温度・拍がそろったなら 届かなかった声が 歌へ変わる 心 × エネルギー(エネシン)= 変わる世界 合図は小さくて でも確か 「ここにいるよ」を 今、点灯 秒針が日付をまたいで 火種は炎じゃない やさしい灯り 明日の入口で 手を離さない