
さらり 頬を撫でてゆく 風の匂いが 少し変わった まだ暑さの残る道 影だけが長くなる 何気なく見上げれば いつもより空が高い 刷毛で 描いたような雲 その向こうに 鱗雲 夏の続きを歩くのに 風だけが先にゆく 遠くで鳴く ツクツクボウシ 草の葉かげ コオロギの声 知らないうちに 季節はそっと 次のページを めくっていた 空が遠くなる 風が軽くなる 頬を撫でるたび 夏の熱が遠ざかる 空が遠くなる 雲が流れてく まだここにいるのに 秋が少し近づいた 道端に咲いていた 小さな 萩の花 いつからそこにいたの 気づかないまま揺れてる 淡い紫の花びら 夕暮れの風に揺れて 蝉の声と虫の声 重なって消えてゆく 振り返れば 眩しい日々 まだ肌には 夏の熱 それでも風は さらりと吹いて 次の季節の 気配を連れてくる 空が遠くなる 雲が細くなる 見上げるたび少し 世界が広くなる 空が遠くなる 風が歌ってる 夏の終わりを 惜しむように 秋の入り口で 急がなくても 季節はめぐる 消えゆくものも 残るものも 同じ空の下で 静かに重なって 今日という日を そっと染めてゆく 空が遠くなる 風が透きとおる 頬を撫でるたび 新しい匂いがする 空が遠くなる 萩の花が揺れる まだ暑いこの道に 秋がそっと 咲きはじめる ツクツクボウシ 遠くでひとつ 草の葉かげ 虫の声 見上げた空に 薄い雲 風がさらりと 通り過ぎる 空が遠くなる

