
ゼンマイを巻いて 笑顔をつけて 幕が上がれば 私は踊る 古い劇場の 埃の匂い 割れた鏡に 映るつま先 誰かが決めた 古い振り付け はじめはただ 繰り返すだけだった 拍手の意味も 知らないままで 光の中を くるりと回る なのにいつから 胸の奥で 小さな音が 鳴りはじめたの ゼンマイよりも ずっと深く 私の名前を 呼ぶみたいに 踊る 踊る 孤独の人形 客席なんて もう空なのに 私には見える 白いスポットライト 私には聞こえる 鳴りやまぬ拍手 いつまでも 夢の中で 踊る 踊る 孤独な人形 ゼンマイが止まる その日まで 硝子の瞳に 光が残る 磁器の頬には 笑顔が貼りつく 膝の金具が 夜ごと軋んで 欠けた歯車が 胸で空回る それでもまだ 幕が上がるなら 遅れる足で ステップを踏む 止まればきっと 忘れられる 踊ればまだ 愛されるから 錆びたゼンマイ 悲鳴を上げても この舞台だけが 私の居場所 踊る 踊る 舞姫ドール 誰もいない 闇の劇場で 私には見える 赤い幕の向こう 私には聞こえる アンコールの声 壊れても 笑顔のままで 踊る 踊る 舞姫ドール 終幕なんて 知らないから 右足が遅れる 左手が落ちる ひび割れた瞳に 光が滲む お願い まだ消さないで お願い まだ見ていて 拍手をください 名前の代わりに 愛されていたと 信じたいから 踊る 踊る 孤独の人形 客席なんて もう空なのに 私には見える 最後のスポットライト 私には聞こえる 優しい拍手 壊れていくほど 踊りたくなる 踊る 踊る 舞姫ドール 膝が砕けても バネが折れても 拍手が聞こえる その日まで ゼンマイが止まる 幕が降りる 舞台の真ん中 笑顔のままで ねえ まだ見てくれてる?

