[Intro] 聞こえた 胸の奥の声 まだ消えない [Verse] 震えるこの手に 何かが宿る このままでいいのかと 心が騒ぐ 君を 失いたくない ただそれだけが 足を動かした [Pre-Chorus] ふたりの 鼓動が 重なる [Chorus] 君となら 越えていける ひとりじゃ 届かない未来へ 恐れさえ 切り開いて 信じ合う その力 Synchronize [Verse 2] かすかな震えが 体に響く 言葉より 早く心が動く その一瞬に すべてをかけて ふたりの時間が 流れていく [Build-Up] 鼓動が 響き合う 今動き出す [Hook] Synchronize! Stand Together! Rise Again! Break the Fate! Synchronize! Take My Hand! We Are One! Never End! [Bridge] 僕は 私は 強くない だから ふたりで 進んでいこう [Last Chorus] 君となら 越えていける 暗闇も 運命さえも ふたりで つかむんだ 希望という 明日を Synchronize Synchronize [Outro] 【Episode Story】 【第5話・Synchronize】 巨大な魔物の爪が、巫女へ振り下ろされようとしていた。主人公は剣を抜き、森の中を全力で駆ける。 「やめろぉぉぉーーー!!」 巫女が声に気付く。 「あなたは……!」 主人公の頭の中へ、無機質な声と文字が浮かび上がった。 ユニークスキルを発動します スキル名「Overtake」 対象:災印獣 グラウガ 同期開始…… 「災印獣……グラウガ?」 グラウガの巨大な爪が迫る。主人公は地面を強く蹴り、巫女の前へ飛び込んだ。 「間に合えぇぇぇ!!」 ガキィィィン!!剣と爪が激しくぶつかる。 「ぐっ……!」 凄まじい重さに、主人公の足が地面へ沈む。 「重すぎる……!」 グラウガは主人公ごと腕を振り抜いた。 「うわぁっ!」 主人公の身体が吹き飛び、木の幹へ叩き付けられる。 「がはっ……!」 剣が地面へ転がった。巫女が叫ぶ。 「大丈夫ですか!?」 「大丈夫では……ないです。」 主人公は苦しそうに立ち上がる。 「でも、まだ動けます!」 「無茶です!逃げてください!」 「あなたを置いて逃げられません!」 グラウガが主人公へ向き直る。その赤い瞳を見た瞬間、主人公の足が震えた。 (怖い……。一撃でもまともに受けたら、次は立てない。) 頭の中には、まだ同じ表示が残っている。 同期中…… 「まだなのかよ……!」 巫女が問いかける。 「何がですか?」 「僕のスキルです!発動まで時間がかかるんです!」 「あと、どれくらいですか?」 「分からない。でも、だいたい十秒です!」 巫女が目を見開く。 「十秒……。」 グラウガが地面を蹴った。 ドォン!! 「来ます!」 主人公は横へ飛ぶ。巨大な爪が地面へ突き刺さり、土煙が舞い上がる。 「くっ……!」 グラウガがすぐに腕を振り上げる。巫女が叫んだ。 「右へ!」 主人公は反射的に右へ飛ぶ。爪が服をかすめた。 「危なっ……!」 巫女は杖を握り直す。 「水よ……!」 地面から水流が巻き上がり、グラウガの足へ絡み付く。 「今のうちに!」 「ありがとうございます!」 主人公は剣を拾い、距離を取る。しかし、グラウガは水流を力任せに引きちぎった。 巫女の身体がふらつく。この世界にきて知った魔力という存在。巫女の様子は魔力切れに近い症状だった。主人公が叫ぶ。 「もう魔法は無理に使わないでください!」 「ですが、このままでは……!」 「僕が耐えます!」 「一人では無理です!」 主人公は一瞬だけ黙る。 「……だったら、教えてください。」 「え?」 「攻撃が来る方向を、僕に教えてください。」 主人公は剣を構え直す。 「僕一人じゃ、あいつの動きを全部見切れません。」 巫女は主人公を見つめ、静かに頷いた。 「分かりました。」 グラウガが咆哮を上げる。 「グオォォォォ!!」 「左から来ます!」 主人公は左へかわす。巨大な爪が空を切った。 「次は正面!」 主人公は剣を両手で構える。ガキィィィン!! 再び剣と爪がぶつかる。 「ぐあぁっ!」 主人公の腕が大きく震える。巫女が叫ぶ。 「受け止めては駄目です!」 「でも、避けたらあなたに当たる!」 「私は大丈夫です!」 「大丈夫に見えません!」 巫女は言葉を失う。主人公は剣を押し返そうと力を込める。 「僕は強くない……!」 グラウガの力に押され、足元の地面が削れていく。 「剣だって、まだ全然使えない!」 剣が悲鳴を上げるようにきしむ。 「でも……!」 主人公は歯を食いしばる。 「助けてもらった人を置いて、逃げたくない!」 グラウガがさらに力を込める。主人公の膝が折れかける。 「あと少し……!あと少しだけ、耐えてみせる!」 その瞬間。頭の中の表示が変わった。 ユニークスキルを発動します スキル名「Overtake」 対象:災印獣 グラウガ 同期能力 ・戦闘力 同期 +ADD ・防御力 同期 +ADD ・敏捷力 同期 +ADD ・魔力 同期不可 同期完了 主人公の身体を淡い光が包む。腕に力が満ち、押し込まれていた剣が止まった。 「……来た!」 主人公は剣を一気に振り抜く。 「うおおおおっ!!」 グラウガの巨体が大きく押し返された。巫女が目を見開く。 「押し返した……?」 主人公自身も驚きながら、自分の手を見る。 「力が……。」 グラウガが再び突進する。 「危ない!」 だが今度は、その動きがはっきりと見えた。主人公は爪をかわし、グラウガの側面へ回り込む。 「見える……!」 剣を振り抜き、グラウガの胸元を切り裂く。グラウガが怒りの咆哮を上げた。 「グオォォォォ!!」 しかし、傷は浅い。グラウガの体当たりを受け、主人公は数メートル押し戻された。 「くっ……!」 巫女が主人公へ駆け寄る。 「大丈夫ですか?」 「はい。さっきよりは、ずっと戦えます!」 主人公はグラウガを見据える。 「でも……駄目だ。」 「駄目?」 「この力は、相手の力を僕の力に足すスキルです。」 主人公は剣を構え直す。 「あいつの戦闘力、防御力、敏捷力。それが今の僕に加わっている。」 巫女は驚愕する。 「相手の能力を、自分の能力へ……?」 「はい。」 「そんなスキル……聞いたことがありません!」 主人公は苦笑する。 「僕も最近知ったばかりです。」 「ですが、それほどの力があれば……!」 主人公は首を横に振る。 「僕があいつより圧倒的に強くなったわけじゃありません。」 グラウガが低く唸り、再び身体を起こす。主人公は自分の震える手を見る。 「僕に同じ力が足されただけじゃ、決定打にはならない。」 巫女もグラウガを見る。 「では……倒せないのですか?」 「僕一人では、たぶん。」 短い沈黙。グラウガが二人へ向かってゆっくりと歩き出す。主人公は巫女の前へ立った。 「僕が時間を稼ぎます。その間に逃げてください。」 巫女は主人公の隣へ並ぶ。 「お断りします。」 主人公が驚いて振り返る。 「でも、魔力がほとんど残っていないんですよね?」 「大丈夫です。あともう少しなら、魔法を使えます。」 巫女は杖を強く握る。 「一人で難しいなら、二人で倒します!」 主人公は目を見開く。 「二人で……。」 巫女は残された魔力を杖へ集め始める。 主人公は少しだけ迷い、やがて剣を構え直した。 「分かりました。」 二人は並び、迫り来るグラウガと向き合う。主人公が静かに息を吐く。 「僕一人じゃ、勝てない。」 巫女が頷く。 「私一人でも、勝てません。」 グラウガが大きく咆哮した。 「グオォォォォォ!!」 主人公は剣を握り締める。 「それなら……。」 巫女も杖を構える。 「はい。」 二人は同時に前を向いた。 「二人で勝ちましょう!」 グラウガが大きく咆哮した。 「グオォォォォォ!!」 地面を蹴り、一気に主人公へ飛びかかる。主人公は剣を握り直す。巫女は杖を高く掲げた。 「水よ……。」 足元から冷気が広がる。 「アイスバインド!」 グラウガの前脚へ氷が絡み付き、その巨体が一瞬だけ止まる。 「今です!」 主人公は地面を蹴った。 「うおおおおっ!!」 グラウガの懐へ飛び込み、渾身の一撃を振り抜く。ザシュッ!!剣が先ほど傷をつけたグラウガの胸元をさらに深く斬り裂く! 「グオォォォォ!!」 怒りの咆哮が森へ響き渡る。主人公はすぐに距離を取る。 「効いた……!」 しかし、グラウガは膝をつきながらも再びゆっくり立ち上がる。傷口から黒い瘴気が溢れ出す。巫女が息をのむ。 「まだ倒れませんか……!」 主人公も剣を構え直す。 「やっぱり、一撃じゃ無理か……。」 グラウガは二人を睨みつけ、大地を震わせる咆哮を放った。 「グオォォォォォ!!」 主人公は剣を握り締める。巫女は杖を構える。二人は視線を交わし、小さく頷いた。 「ここからが本番だね!」 「はい!」 二人は再び、災印獣グラウガへ向かって駆け出した――。



