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序文:セーブ・ポイント

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「水先」歌詞を物語に起こしました。 𓇠𓇠𓇠𓇠𓇠𓇠𓇠𓇠𓇠𓇠𓇠𓇠𓇠𓇠𓇠𓇠 すべての雑音が途絶え、絶対的な静寂だけが支配する水辺。 足の甲を冷たい水が濡らしては引いていく。 私は空になった体を持ち合わせたままで、その暗い境界線に立ち尽くしていた。 これ以上、傷つかないために。 これ以上、見劣りする自分を見ないために。 ただ逃げ出したくて、重い足を引きずりながら、ようやくここまでたどり着いたのだ。 ふと、青白い霧の向こうから、手漕ぎの小舟が音もなく近づいてきた。 舳先に立っていたのは、身の丈ほどある古い錫杖を持った背の高い影。 深い悲しみに寄り添うように首を前に垂れている。 その影は、私が傷だらけになって歩んできた逃避の足取りを、真っ向から見とめてくれた。 世間の誰も見向きもしなかった私の痛みを、ただ静かに受け入れたのだ。 深海のように静かで、陽だまりのように温かい気配。 一緒に向こう岸へと渡るために差し出された手。 底なしの優しさに触れようとした瞬間、私の足は水際でピタリと動かなくなった。 私がすでに気付いていることを見透かされているようだった。 想定していない出来事ばかりで、理不尽に崩れ去る世界。 そこから逃げ出してきたはずなのに、いざ終わりの淵に立ち、真実の扉を前にすると、胸の奥に小さな後悔がさざ波のように立っている。 「二度とは戻らぬ、覚悟はあるか」 絶対的な不可逆性を孕んだ言葉を突きつけられたとき、私ははっきりと怖気づいている自分に気がついた。 消えたいわけじゃなかった。 ただ、この苦しみを誰かに認めてほしかっただけなんだ。 終わりの淵で完全に受け入れてもらえたからこそ湧き上がってきた、生への執着。 私は感情を押し殺すように身を引くと… 責めることも、無理に引き寄せることもせず、ただ深く頷いたように見えた。 差し出されていた手が静かに下ろされ、舟はゆっくりと岸から離れていく。 それは拒絶ではなく、あちら側で生きるべきだという、静かで究極の肯定だった。 私は深く息を吸い込み、ゆっくりと瞳を閉じた。 振り返った先にあるのは、かつて絶望したはずの、あの雑音に満ちた現実の世界。 けれど、今の私には、そこが再び帰るべき場所のように思えていた。 遠ざかる影に見送られながら、私は、冷たい水の中から右足を踏み出す。 ゆっくりと、前へ。 私は、私自身の本当の心へと向かって歩き始めた。