朝起きたら 水曜日がいた 冷蔵庫の横で 正座していた 「何してんの」 『順番を待っています』 そうですか カーテンを開けたら 外はだいたい外だった 電柱が一本だけ こっちを向いていた 牛乳を飲んだら 賞味期限が 「昨日」 じゃなくて 「たぶん」 になっていた 困ったな 今日は仕事なのに 靴下を右から履いたら 右足が二本になった 一本余ったので 玄関に 置いてきた 月曜日を 燃えるゴミに出しました 火曜日は まだ寝ています 水曜日が 僕の椅子に座って 木曜日を 食べています 金曜日は 電話に出ない 土曜日は たぶん海の中 日曜日だけ ずっと 天井に 貼りついている 会社に電話をした 「すみません 今日ちょっと遅れます」 『どちらさまですか』 「僕です」 『僕さんは 昨日退職されました』 知らなかった 退職祝いくらい 欲しかった 仕方がないので 駅まで歩いた 駅はあった 線路もあった 電車だけ 全部 縦に走っていた 駅員さんに聞いた 「これ乗れます?」 『落ちますよ』 「ですよね」 切符だけ買って 帰った 月曜日を 燃えるゴミに出しました 火曜日は 芽が出ました 水曜日が 少し大きくなって 僕の服を 着ています 金曜日から 手紙が来た 「もう探さないでください」 探してない 土曜日は まだ 海の中 夕方になって 右足を 取りに戻った 玄関には 知らない靴が 七足並んでいた 奥から 母さんの声がした 『おかえり』 母さんは 三年前から 北海道にいる 「……ただいま」 月曜日を 燃えるゴミに出したのに 夜になったら 帰ってきた 袋の中で 少しだけ 大人しくなっていた 水曜日は もういなかった 木曜日も 見当たらない 金曜日は 知らない 土曜日は 海から 電話をかけてきた 八時 八時 八時 八時 ……ひとつ余った