散らかった感情の中で ひとつだけ拾えなかった うまく隠したつもりの傷が まだ胸を掠めていく 誰かと比べるたびに 少しずつ声が痩せて 平気な顔を覚えた頃には 何を守っていたかも忘れた 秒針の音が心音と重なった 静けさばかり大きくなって 消したはずの記憶たちが 暗がりで目を覚ます 寝れない夜もあっただろう? 薄い孤独を抱き寄せて 何度も朝をやり過ごした 涙の海でクロール 行き先なんてなくても 沈まないことだけ信じて 必死に腕を伸ばしていた 誰にも見せない弱さほど 綺麗に胸へ残るから 投げ捨てた言葉たちが 足元に積もっていく 今さら拾い集めたところで 届く場所なんてないのに 笑い声の向こう側で 置いてきたものを数えた どうして失くした瞬間だけ 鮮やかに思い出せるんだろう 答え合わせの出来ない日々が 静かに肩へ降り積もる 忘れるためじゃなくて 抱えるために生きていた 寝れない夜もあっただろう? 言葉にならない寂しさを 胸の奥で飼い慣らして 涙の海でクロール 不格好な泳ぎ方でも 溺れながら覚えた強さが 確かにそこにあった 秒針の音が心音と重なった あの静けさの真ん中で 誰より自分を疑っていた 幾つもの夜を越えて 置き場所のない痛みまで 連れてきてしまったけれど 涙の海でクロール 息継ぎだけを繰り返して 誰にも言えない傷跡ごと ここまで運んできたんだ 秒針の音が心音と重なった あの部屋はまだ消えなくて それでも確かに今日までを 生き抜いてきた証になる 寝れない夜もあっただろう? その涙さえ抱いたままで 僕はまだ歩いている


