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Revealed【新・異世界で始める二人旅13】

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V6

[Intro] 読めない風に 耳を澄ませて こぼれる砂の 声を探してた [Verse 1] いつからだろう 知っていたはずの この世界が 少しずつずれていった 指の隙間を すり抜けるように [Pre-Chorus] 私が 変わったのかな でも 小さな声が 違うと叫んでた [Chorus] 見えないものほど 確かにそこにいて 触れられない答えが 風を揺らしてる 間違いじゃなかった 今 ひとつにつながる [Hook] Read the wind Hear the sand Find the sign Follow it Read the wind Hear the sand [Verse 2] 崩れるたびに 形を変えて 何もなかったように 戻っていく影 だけどひとつだけ 巡り続ける [Pre-Chorus] 見えなくても 消えてはいない 流れは 嘘をつかない [Build-Up] もっと深く もっと静かに こぼれる声を たどって まだ見える まだ読める 私は―― [Hook] Read the wind Hear the sand Something remains Read the wind Hear the sand Something remains [Chorus] 見えないものほど 確かにそこにいて まだ名前のない気配が 夜を満たしてる それでも今度は 目をそらさない 読めない風さえ いつかほどけるから 私はもう 私を疑わない [Post-Chorus] やっと分かった 私の世界は まだ壊れていなかった [Outro] I can hear it I can feel it まだここにある 【Episode Story】 【第13話・Revealed】 ヴァルザの咆哮が、崩れかけた遺跡全体を震わせた。倒れたはずの巨体が、ゆっくりと立ち上がる。岩のような外殻には大きな亀裂が走り、深く斬りつけた傷も残っている。それでも、ヴァルザはまだ倒れていなかった。 「……嘘だろ。」 主人公の口から思わず声が漏れる。確かに攻撃は届いていた。巫女の《アイスバインド》で砂の動きを止め、全力の一撃を叩き込んだ。それでも目の前の巨体は、再び四本の脚で石床を踏みしめている。 「まだ……動けるなんて……。」 主人公は視界に残る表示へ目を向けた。 スキル「Overtake」 対象:災印獣 ヴァルザ 同期状態 継続中 「……やっぱり、終わってない!」 巫女の表情が引き締まる。その時、ヴァルザが低く唸り、身体を大きく震わせた。 「何か来る!」 直後、大量の砂が爆発するように吹き上がった。 「っ……!」 一瞬で視界が消える。細かな砂粒が頬を叩き、息を吸うだけで喉がざらついた。 「砂嵐……!?」 巫女が杖を握ったまま姿勢を低くする。主人公も腕で顔を守るが、数歩先すら見えない。 「二人とも、大丈夫!?」 「はい!でも、このままでは近づけません!」 その声を聞きながら、砂守の少女だけがじっと動きを止めていた。 「……これ、まさか?」 「え?」 少女は返事をせず、吹き荒れる砂へ意識を向ける。風の向き。砂粒の流れ。足元から伝わる微かな振動。 スキル《砂読み》。 砂守として培った感覚を僅かに鋭くする力で、少女は目の前の砂嵐を読み続ける。 やがて、その表情が変わった。 「……やっぱり、同じ。」 「何がです?」 巫女が問いかける。 少女は砂嵐の向こうにいるヴァルザを睨んだ。 「最近の砂嵐と……同じ。」 「前に言ってた、読めなくなった砂嵐?」 少女が頷く。 「昔のなら分かった。風が変わる前も、砂が動く前も。でも最近のだけは、急に来て、途中で向きまで変わる。」 一度、言葉が止まる。 「私の感覚が……鈍ったのかと思ってた。」 いつも淡々としている彼女の声が、わずかに震えていた。 だが、今は目の前に答えがある。 「違った……!」 少女はヴァルザを睨みつける。 「あいつだ!あいつが……最近の砂嵐を起こしてたんだ!」 主人公と巫女が顔を見合わせた。その瞬間、砂嵐の向こうから再び咆哮が響く。さらに強い風が吹き荒れ、残っていた石柱が軋み、天井から石片が落ち始めた。 「まずい!このままだと遺跡がもたない!」 砂守の少女が足元を見る。 「……下。」 「下?」 「砂の流れが変。この下に空間がある。」 主人公には石床しか見えない。 「分かるの?」 「少し。こっち。」 少女が走り出し、二人も後を追った。背後からヴァルザが迫る。巨体が石床を踏むたびに遺跡全体が揺れ、壁の亀裂が広がっていく。 「急いで!」 巫女が叫んだ直後、三人の足元を大きな亀裂が走った。 「――!」 床が沈む。主人公が咄嗟に手を伸ばす。 「掴まって!」 二人も手を伸ばしたが、間に合わない。足場が砕け、三人は瓦礫とともに暗闇へ落ちていった。 やがて主人公は硬い床へ転がった。 「……っ。みんな、大丈夫?」 「……はい。何とか。」 「……大丈夫。」 二人の声を聞き、主人公は安堵して身体を起こした。砂埃がゆっくりと晴れていく。そこは先ほどより狭い地下空間だった。崩れた石柱や古い石壁が並び、その最奥に一つの大きな石碑が立っている。 「……あれ。」 巫女も石碑へ目を向け、息を呑んだ。 「まさか……。」 石碑に刻まれた紋様。形こそ違うが、《アルカ》で見たものと同じような気配がある。 「これが……二つ目の印?」 「……はい。おそらく。」 しかし、巫女の表情からすぐに喜びが消えた。 「印の力が……ほとんど残っていません。」 目の前の石碑は、今にも消えそうな光を僅かに明滅させている。 「こんなに弱ってるの……?」 その時、主人公は石碑の根元にある異変に気づいた。 「……待って。あそこ。」 古い石床が大きく割れている。ただの崩落ではない。割れ目の奥には光が届かないだけでは説明できないほどの黒が広がり、そこから霧とも煙ともつかないものが、ゆっくりと溢れ出していた。 「……なんだ、あれ。」 巫女も黒い異常を見つめたまま動かない。 「……分かりません。」 「知らないの?」 「はい。こんなもの……私、見たことがありません……。」 砂守の少女も近づこうとはせず、小さく呟く。 「……嫌な感じ。」 その時だった。背後から、重い音が響いた。三人が振り返る。崩れた天井の穴。その暗がりから、巨大な影が姿を現した。 「……追ってきた!」 ヴァルザだった。肩の外殻は割れ、左の前脚も半ば崩れている。主人公は剣を構える。 「まだ傷は残ってる。今なら――。」 「待ってください!」 巫女の声に足を止める。石碑の下から溢れていた黒いものが、不意に揺らめいた。 「……え?」 それは床を這うようにヴァルザへ伸び、割れた外殻の隙間から身体へ入り込んでいく。次の瞬間、崩れていた砂が動き始めた。 「そんな……!?」 割れた肩へ砂が集まり、半ば崩れていた前脚が形を取り戻していく。主人公は黒い異常とヴァルザを交互に見た。 「今の……あそこからヴァルザに入り込んだよね?」 「……はい。でも、一体これは……。」 「……十分嫌な感じはするけどね。」 それ以上考える時間はなかった。ヴァルザが地面を蹴った。主人公は横へ跳ぶ。巨大な爪が石床を砕き、続けて二撃目が迫る。その瞬間、横から鋭い風の刃が飛んだ。 「ウィンドカッター!」 ヴァルザがわずかに怯む。 「今!」 砂守の少女の声に合わせ、主人公は距離を取った。 「助かった!」 少女は返事をせず、ヴァルザの足元を見つめている。 「……また来る。」 ヴァルザが身体を大きく震わせた。次の瞬間、肩や背中、脇腹から大量の砂が噴き出す。 「また砂嵐……!」 狭い地下空間を砂が吹き荒れる。主人公は顔を守りながら、今度はヴァルザの身体そのものを見た。 「……あれ?」 「どうしました?」 「砂、あいつの身体から出てる。」 ヴァルザの肩や背中は、先ほどよりも細くなっていた。輪郭の一部も崩れかけている。 「砂を出した分だけ、自分の身体も崩れてる……。」 「そう見える。」 「じゃあ、あの砂嵐もリスクなしでやってるわけじゃないんだな!」 主人公は剣を握り直す。自分たちだけではない。ヴァルザも追い詰められている。そう思った時だった。 視界の中に文字が浮かぶ。 スキル「Overtake」 対象:災印獣 ヴァルザ 同期状態 継続中 対象との同期深度が規定値を超過 「……まただ。」 グラウガと戦った時にも見た表示。続けて新たな文字が現れる。 追加同期を開始します ・戦闘感覚 同期 +ADD ・危機察知 同期 +ADD 身体負荷 上昇 追加同期完了 「っ……!!」 心臓が激しく跳ねた。全身の筋肉が締めつけられるように痛み、呼吸が浅くなる。主人公は思わず片膝をついた。 「大丈夫ですか!?」 巫女が駆け寄ろうとする。主人公は剣を支えに立ち上がった。 「大丈夫……とは言えないけど、まだ動ける。」 「無理はしないでください!」 「分かってる。でも、今はこいつを止めないと。」 巫女は心配そうに主人公を見る。 「……本当に、無茶はしないでくださいね。」 「できるだけ。」 「できるだけ、では困ります。」 主人公は苦笑した。 「……善処します。」 「それも少し不安です。」 一瞬だけ巫女の表情が緩む。だが次の瞬間、二人は再びヴァルザへ向き直った。主人公は深く息を吸う。身体は限界に近い。それでも、ヴァルザの動きだけは先ほどより鮮明に感じられた。前脚を振る前に肩が沈む。突進する前には後脚へ力が集まる。ヴァルザが前脚を振り下ろす。主人公は、その攻撃が始まるより一瞬早く横へ避けた。 「見える……!」 そのままヴァルザの懐へ踏み込む。その時だった。砂を大量に吐き出して薄くなった脇腹の奥で、何かが一瞬だけ見えた。黒く、硬質なもの。 「……今、何か……!」 次の瞬間には砂に隠れる。ヴァルザが身体をひねる。主人公は攻撃をかわし、距離を取った。 「どうしました?」 「あいつの中に何かある。」 「中に?」 「一瞬だけ見えた。黒くて、硬そうなものが。」 もう一度目を凝らす。先ほど脇腹にあったものが、今度は肩の奥に僅かに覗いた。 「待って……動いてる。さっきは脇腹だったのに、今は肩だ。」 その言葉を聞き、砂守の少女もヴァルザへ視線を集中させる。散る砂。身体へ戻る砂。そして、新たに吹き出す砂。しばらく流れを追ったあと、少女が呟いた。 「……ある。」 「分かる?」 「少し。砂が、一度そこへ集まってる。」 主人公が見た場所と同じだった。巫女もヴァルザを見つめる。 「それが、身体を作り直している原因なのでしょうか?」 「分からない。でも……あれを中心に砂が動いてるように見える。」 「なら、狙う価値はありますね。」 「うん。でも、ずっと場所が変わってる。このままじゃ狙えない。」 その直後、ヴァルザが再び身体を震わせた。大量の砂が噴き出す。身体の砂が外へ吐き出され、輪郭が薄くなった一瞬だけ、内部を動く黒いものがはっきりと見えた。 「あそこだ!」 主人公が叫ぶ。 「砂嵐を出してる間なら見える!」 砂守の少女も頷く。 「私も追える。」 巫女が杖を握り直した。 「では、私が動きを止めます。」 「できる?」 「全身を凍らせるほどの水は、もう残っていません。でも、一か所だけなら。」 主人公は少しだけ笑った。 「それで十分!」 三人がヴァルザへ向き直る。 「位置は任せる。」 「見る。」 「止めるのは私が。」 主人公は剣を両手で握った。 「じゃあ、僕が壊す!」 ヴァルザが咆哮し、真正面から突進してきた。主人公も地面を蹴る。巨大な爪をかわす。二撃目も避ける。全身が痛み、呼吸も苦しい。それでも足を止めない。ヴァルザが再び身体を震わせた。 「来る。」 大量の砂が噴き出す。少女の視線が鋭く動く。 「右の肩!」 主人公にも見えた。黒いものが肩の奥から脇腹へ移っていく。 「下へ動いてる!」 「もう少し下!」 巫女が杖を向ける。 「そこですね!」 残った水が細い流れとなってヴァルザへ飛ぶ。 「アイスランス!」 氷の槍が突き刺さり、氷が右肩から脇腹へ広がった。全身を覆うほどではない。だが、その一部分だけは確実に固まる。周囲の砂の流れが止まり、内部を動いていた黒いものも、その場所で止まった。 「今!」 主人公が地面を蹴る。ヴァルザの爪を潜り抜け、そのまま懐へ飛び込む。氷に覆われた脇腹。その奥に、黒いものがある。 「ここだ!」 剣を両手で握り、全力で突き込む。硬いものへ刃が当たり、一瞬止まった。 「くっ……!」 歯を食いしばり、さらに体重を乗せる。次の瞬間、奥で何かが砕けた!ヴァルザの身体が止まった。主人公は剣を引き抜き、すぐに距離を取る。傷口から大量の砂が流れ落ちた。いつもなら、地面へ落ちた砂は再び身体へ戻っていく。だが、今回は戻らない。 「……止まった。」 巫女が呟く。肩が崩れ、続いて前脚も形を失っていく。ヴァルザはもう一度身体を震わせ、砂を集めようとするが、何も起こらなかった。その時、石碑の下から黒いものが再び伸びる。 「まだ……!?」 主人公が剣を構える。黒いものが崩れた砂へ触れる。三人が息を呑んだ。しかし、砂は動かなかった。先ほどのように、一つの身体へ戻ることはない。黒い岩のような仮面に亀裂が入り、それが顔から首、胴体へ広がっていく。最後に低い唸り声を残し、ヴァルザの巨体は砂となって崩れ落ちた。もう、戻ることはなかった。 しばらく三人は動けなかった。やがて主人公の視界に表示が浮かぶ。 スキル「Overtake」 対象:災印獣 ヴァルザ 同期終了 「……今度こそ、終わった。」 表示が消えた瞬間、主人公は大きく息を吐き、その場へ片膝をついた。 「大丈夫ですか?」 巫女がすぐに駆け寄る。 「うん。いや……たぶん。」 「もう……無茶をしすぎです。」 主人公は苦笑した。 「今回は、僕もそう思う。」 「今回は、ですか?」 「……次から気をつけます。」 巫女がじっと主人公を見る。 「前にも聞いた気がします。」 「そうだったっけ?」 「聞きました!」 即答だった。主人公は困ったように笑う。 「じゃあ……今度こそ。」 「本当ですか?」 「……たぶん。」 「やっぱり信用できません。」 そう言いながらも、巫女の表情には安堵が浮かんでいた。少し離れた場所では、砂守の少女が崩れたヴァルザを見つめている。 主人公が声をかける。 「……大丈夫?」 少女は少し間を置いて頷いた。 「うん。」 足元に広がる砂を見る。 「……こいつだったんだ。」 「砂嵐?」 「うん。」 短い返事だった。それでも、ずっと抱えていた疑問にようやく答えが出たことは伝わってきた。しばらく三人の間に静かな時間が流れる。やがて巫女が第二の印へ視線を戻した。 「……まだ、終わりではありませんね。」 主人公もゆっくり立ち上がる。地下空間の奥には、弱々しい光を残す第二の印。そしてそのすぐ下では、黒く割れた空間から今も得体の知れないものが静かに溢れ続けている。 「……結局、あれは何なんだろう。」 巫女はしばらく黒い異常を見つめ、ゆっくり首を振った。 「分かりません。ですが、この印がかなり弱っていることだけは確かです。」 「直せそう?」 巫女は石碑を見上げ、少し考えてから頷く。 「やってみます。」 主人公も頷いた。 「うん。お願い。」 巫女は第二の印の前へ進み、静かに杖を構えた。その足元では、石床に生じた黒い裂け目から、今も正体の分からないものがゆっくりと溢れ続けている。ヴァルザは倒れた。けれど、あれが何なのかは、まだ誰にも分からない。三人が見守る中、巫女は第二の印へ向き直った。そのすぐ下で、黒い裂け目だけが何も答えないまま、静かに揺らめいていた。