
百年ノス茶ルジー / 緑川すず
[Intro] (Vinyl crackle and the sound of a distant steam whistle) (Piano plays a melody using the "Yonanuki" scale) (Sound of hot water pouring into a ceramic cup) [Verse 1] ガス灯が照らす ハイカラな街 ちゃぶ台を囲む 「茶の間」の誕生 上流階級の 嗜みだった緑(いと)が 家族の団欒に そっと溶けてゆく 使い込まれた急須 湯気の向こうに 玄米の香ばしさ 明日へつながる [Chorus] 巡る 巡るよ 百年の時を 形を変えても 変わらぬ祈り のどを潤し 心をほどく 緑の雫は 記憶の栞 [Verse 2] 昭和の夏 冷蔵庫の奥で 冷えた麦茶が 汗をかいていた 一九八五 世界が変わる 「買うお茶」が 新しい扉を叩いた 便利という名の 銀色の缶に 私たちは 何を詰め込んだのだろう [Verse 3] 平成の街 五百ミリの自由 誰もが鞄に 潤いを忍ばせて いつしか消えた 急須の居場所 「離れて」気づく あの雨の日の渋み 画面越しの文字 冷たい指先 温めるのは いつだってこの一杯 [Chorus] 巡る 巡るよ 百年の時を 形を変えても 変わらぬ祈り のどを潤し 心をほどく 緑の雫は 記憶の栞 [Bridge] 令和の風 「Matcha」と謳う世界 SNSに映える 鮮やかな緑 でも本当の価値は 目に見えぬ場所 五感で味わう 一期一会の「体験」 時代がどれほど 加速したとしても 茶せんを振る手は 静寂を連れてくる [Chorus] 巡る 巡るよ 百年の時を 形を変えても 変わらぬ祈り のどを潤し 心をほどく 緑の雫は 記憶の栞 [Outro] (Slow Koto arpeggio) (Sound of a tea bowl being turned) (Distant sound of a modern city at night) 「お茶、淹れたよ」 その一言が また次の百年を紡ぐ (Faint piano melody fades into vinyl noise) [End]


