[Intro] 頁(ページ)をめくる音だけが こんなに広い部屋を 少しずつ 遠くしていく [Verse 1] 知らないことを知りたくて ひとつ またひとつ 積み上げた 誰かが生きた百年を 午後のひかりで読み終えた 戦争も 恋も 星の距離も 名前を覚えれば近くなる なのに窓辺の風ひとつ うまく説明できなかった 本は答えをくれるけど 答えの数だけ 問いが増える [Pre-Chorus] 読めば読むほど 遠くなる わかればわかるほど わからなくなる それでも今日も 栞(しおり)を挟む ここまで来たと 忘れないように [Chorus] 余白の海を 泳いでゆく 言葉と言葉の あいだをゆく 正しさだけじゃ 渡れない 名もない気持ちを 抱いたまま 頁をめくって また迷う 迷ったぶんだけ 世界はひらく 知ることだけが 答えじゃないと 知るためにまた 本を読む [Verse 2] 積み上げすぎた物語が いつしか壁になっていた 昨日の私を守るため 覚えた言葉も多すぎた 幸福(こうふく)とは 孤独(こどく)とは 自由とは 未来とは どれも綺麗に書いてあるのに あなたが泣いたあの夜だけ 何を言えばいいかわからない 辞書を閉じれば 聞こえてきた 呼吸の音が ひとつ [Pre-Chorus] 言葉になるもの ならないもの 残るもの 消えてゆくもの 読めない頁も 破れた頁も きっと物語の 一部なんだ [Chorus] 余白の海を 泳いでゆく 昨日と明日の あいだをゆく 遠くへ行くほど わかってく 世界は地図より 広いこと 頁をめくって また戻る 同じ一行が 違って見える 本が変わった わけじゃない 変わっていたのは 私だった [Bridge] もしもすべての本を読んで すべての名前を覚えて すべての問いに 答えられたら 私はもう 迷わないのかな それとも 迷わないことを 少しだけ 寂しいと思うのかな 積み上げた本の向こうから 夕暮れが差し込んで 知らない色で 床を染めた それだけで 今日は 十分だった [Final Chorus] 余白の海を 泳いでゆく 答えの岸を 探さずにゆく わからないまま 愛せること 知らないままでも 歩けること 頁をめくって 風を待つ 物語よりも 長い今日を 読み終えないで 生きてゆく 私自身も 未完(みかん)のまま 知ることと 生きることは たぶん少し 違うから それでも私は 頁をめくる [Outro] 栞を挟んで 本を閉じる 窓の向こうは まだ 読んだことのない 夕焼けだった


