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油の中で

V5.5

静かな 音が 深いところで 弾けてる きつね色に なるまでの あいだ 何かを 許している 溶けきれない 言葉を 衣で 包んで 形だけ 整えて 誰にも 見せないまま 熱さの 中でだけ 本当が やわらぐ サク、という 音に 意味を 与えすぎている 壊れた ところだけ 綺麗に 響く 油の 中で 心は ゆっくり ほどけていく 熱いうちに 飲み込んで 何も 残さないように 優しさに 似た 硬さで 全部を 隠してしまう それでも まだ 何かが 下に 残っている 手のひらに 映る 光が 少しだけ 鈍い 洗い流しても 落ちない ぬくもりがある 綺麗な ふりをした ひびが 口の中で 砕ける 飲み込んだ はずのものが 後から 名前を 持つ 味のない 痛みは 何にも なれないまま 油に 混ぜて やっと 許される 油の 中で 言葉は 優しく 濁っていく 正しさよりも やわらかく 飲み込める 形にして サク、という 音だけが ここに 残る 理由で 本当は ずっと 何も 変わっていない 火が 消えても 匂いだけが 残っている