
巨大なショッピングセンター。 どんなものでも売っている、と評判だ。 食品コーナーなんか 見てまわるだけで満腹になる。 おそらく疑似加工食品だろうが 人魚の刺身や河童の干物まで並んでいる。 玩具コーナーの戦争ゲーム盤の隣には さりげなく核兵器手作りキットが置いてある。 悪質な冗談としか思えない。 季節商品の納涼グッズ・コーナでは 風鈴のように幽霊が吊り下がっている。 その、うらめしそうな顔、顔、顔。 しかし、そんなものはどうでもいい。 あれは、どこに売っているのだろう。 ここへ来たのは、あれを買うためなのだ。 「商品を探しているのですが・・・」 制服姿の従業員に尋ねてみた。 「はい。何をお探しでしょう」 なんて素敵な商業スマイル。 「あ、愛は、どこにありますか」 赤面するのが自分でわかった。 「愛ですか?」 「そうです。愛が欲しいのです」 もう恥ずかしがってる場合じゃない。 「本日の目玉商品のやつですね」 「そうです。それです。それに違いありません」 涙で視界がにじんだ。 やはり愛は売っていたのだ。 しかし、従業員は申し訳なさそうな顔をする。 「すみません。 愛は、午前中に売り切れてしまいました」

