
君の背中を追うペダル 誰もいない防波堤 砂浜に並ぶ二つの影 引き留めるような波の音 炭酸の抜けたラムネ瓶 息を止めた夏の骸 ひぐらしが遠く響く 終わりを告げるように 「明日で私、東京に帰るの」 止まった茜色が君を染める きっと君は困っちゃうから 飲み込んだ 好きだったよ きっと東京の人波に この海の青さを忘れてゆく 日焼けした君の笑顔を きっと愛おしくなるよ 片付けを終えた部屋 夜に潰されそうになる 心だけがまだここで 帰りたくないって言ってる 「明日で私、東京に帰るの」 止まった茜色が君を染める きっと君は困っちゃうから 飲み込んだ 好きだったよ 「またね」という言葉で この痛みをぬぐった 二度と戻らない季節 喉の奥が叫んでいる 動きだすバスを追いかけて 走る君の影が涙ににじんで 窓の隙間からそっと放った ほんとはね、「好きだったよ」 遠ざかる町 燃え尽きる空 ラムネ瓶の底には あの夏の痛いほどの青が 澱のように沈んだまま

