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嘘の足音

V5.5

ゆらゆら きらきら 嘘の足音 ずるずる ずるずる 愛のすきまに おちてゆく 夕焼けが変な色の日だった 君はひどく下手に笑って 僕の隣に座ったんだ 服のきかたが少しズレていた 毎日ごはんをたくさん食べて 毎日「おいしい」と口に出したね あれは演技の練習だったんだろ 僕を安心させるための 子どもが生まれた夜 君は涙を流していたけれど その涙がどこから湧いたのか 僕は怖くて聞けなかった 知っていたよ 君が人間じゃないことくらい 最初からずっと うすうすね だけどさ 君の髪の匂いは本物だった それだけでよかったんだ ゆらゆら きらきら 嘘の足音 ずるずる ずるずる 愛のすきまに おちてゆく 夜中に君が起き出して 壁の隙間をじっと見つめる あの冷たい横顔を見るたびに 胸の奥がチクチク痛んだ だまされたふりをするのは 結構つかれる作業だったけれど だまされている時間が 僕のすべてになっていた ある日 君はパタリと倒れて それっきり動かなくなった お医者さんは「寿命です」と言った 冷たくなった君は ただの肉だった 知っていたよ 君の正体が何であれ 僕を置いて逝ってしまうこと ごめんね 一度もうたがいを口にしなくて 寂しさに負けそうだったから ゆらゆら きらきら 嘘のあしあと ずるずる ずるずる 愛のすきまに 土の中に君を埋めた 綺麗な四角い墓を建てた 今でもときどき思うんだ 君はあそこで 人間のフリをやめて ホッとしているのかな さよなら さよなら 嘘のあしおと