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夏時雨

V5.5

[Intro] ぽつり 頬に落ちた 夏の終わりの ひとしずく 誰もいない帰り道 夜だけが 雨を知ってる [Verse 1] 閉じかけた屋台の灯り 水たまりの中で揺れて 濡れたアスファルトに滲む 赤や橙が ほどけていく 下駄の音も 祭囃子も もう遠くなったはずなのに 雨粒の向こう側から まだ少し 聞こえる気がした [Pre-Chorus] 楽しかったね それだけじゃ足りなくて 寂しかったね それさえ愛しくて ひとつずつ 胸の奥にしまうように 雨は静かに降る [Chorus] 夏時雨 この夜を濡らして 忘れたくないものまで 流さないで 笑った日も 俯いた日も 全部 私の夏だった 夏時雨 もう戻れなくても あの日々を失くしたわけじゃない さよならじゃなく ありがとうでもなく ただ「ここにあった」と 受け入れてゆく雨 [Verse 2] 髪を伝う冷たい雫 少しだけ火照った頬 傘を差すほどでもないと 濡れたまま歩いていた ラムネ色の小さな記憶 水面に揺れていた灯り 夕暮れに鳴った風鈴も 今夜の雨に重なってゆく [Pre-Chorus] 消えていくから 綺麗だったのかな 終わっていくから 大切だったのかな 答えなんて まだ分からないままで 雨を見上げていた [Chorus] 夏時雨 この胸を濡らして 忘れられないものほど 優しくして 嬉しかったこと 寂しさまで 全部 抱えて歩くから 夏時雨 洗い流すのなら 痛みじゃなく あの日の迷いを 思い出だけは 連れて帰るから もう振り返らずに 歩いてゆけるように [Bridge] 雨音だけになった街で ふいに立ち止まる 今年の夏も 終わるんだね ……そっか 終わっても なくなるわけじゃないんだ [Break] ぽつり ぽつり 記憶の輪郭を 優しくなぞるように 降って 降って 私の中へ 夏が沈んでゆく [Final Chorus] 夏時雨 もう少し降っていて この気持ちに名前がつくまで 楽しかったね 寂しかったね どちらも嘘じゃないから 夏時雨 やがて止む頃には 昨日より少しだけ 歩けるかな 忘れるためじゃない 消すためでもない 過ぎてゆく季節を 愛せるようになるため [Outro] 雨脚が 少し弱くなる 濡れた街に 夜が戻る 遠くの祭りの灯りも ひとつ またひとつ消えて 夏時雨のあと 私はまた 静かな帰り道を 歩き出した